桑山忠明
タカ・イシイギャラリーにて、ニューヨークを拠点に活動する桑山忠明の個展が開催されます。
観念、思想、哲学、理性、意味、作家の人間性さえも、私の作品には一切入り込まない、そこにはただ芸術 そのものがあり、それにつきるのである。
桑山忠明『Art in America』1964年8月号(vol. 52, no.4)p100
1958年に活動拠点をニューヨークへ移して以来、一貫して還元主義的な作品を制作している桑山は、61年にグリーン画廊(ニューヨーク)で個展を開催するなど、60年代のアメリカにおけるミニマル・アートの先駆者のひとりとして広く知られる作家です。しかしながら、その世界的なミニマリスト作家としての評価は、桑山の芸術を「カラーフィールド・ペインティング」や「モノクローム絵画」に分類することで、既存の評価基準と照らし合わせているに過ぎません。既成概念を捨て去り、実験的な精神のもと作品の素材に関する探求を重ねることで、桑山は未だ誰も到達していない美を追求し続けています。