さわひらき

21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展 アンディ・ウォーホルから奈良美智まで

ARTLOGUE 編集部2018/05/16(水) - 17:37 に投稿
マシュー・バーニー《Ms.-グッドヤー》1995年 © Matthew Barney

 

タグチ・アートコレクションは、実業家の田口弘氏が収集した国内有数の現代美術コレクションです。400 点を超えるコレクションは、出身地もさまざまで、グローバルに活躍する作家たちの作品からなり、いまの美術の動向を一望することができます。本展では、コレクションの中から、2000 年代に制作された作品を中心に、現代の美術作品を紹介します。

現代の美術の特徴のひとつに、作品の中に「美術とは何か」という自己言及性を抱えていることが挙げられます。アンディ・ウォーホルのように広告やアニメーションのイメージを取り込んだり、あるいは、過去の巨匠の作品を引用したりしながら、「私の考える美術」を提示しています。

また、ものをつくるという行為は、作家の体そのものから発する内的なものだという考え方もあります。民族やジェンダーを主題にした作品や、映像作品にみられる物語性を取り入れた作品は「私はなぜ私であるのか」を見る人に問いかけてきます。

奥能登国際芸術祭2017

ARTLOGUE 編集部2017/10/01(日) - 23:22 に投稿

芸術祭開催によせて

総合ディレクター 北川フラム

 

奥能登・珠洲は、能登半島の先端に位置し、周囲を日本海に囲まれた農山漁村です。黒潮(暖流)、親潮(寒流)がぶつかり、大陸からの季節風が海の水蒸気を含んで雨を降らし、外浦(北側)と内浦(南側)を有する独特の地勢も重なって、東西の植生が共存する豊かな植物・生物相につながっています。遣唐使、渤海使、北前船など、かつて日本海を舞台とした海上交易が盛んだったころ、さまざまな船が立ち寄り栄えましたが、海運から陸運に交通体系が変わったことで半島の先端という立地が弱点となり、過疎化が進行してきました。1954年に市制が施行した当時38,000人の人口は、現在では15,000人となっています。

珠洲は今までの価値観では日本列島のさいはての土地です。しかし日本各地の生活文化が集積し、そのあらわれである祭りはキリコ、曳山やヨバレの風習として今も残る日本文化の源流が湧き出ずる場所でもあります。それは今の時代、逆に希望のありかとしての特異点になるものです。