「あいちトリエンナーレ」から名称と体制を大きく変えて、2022年に新たに始動する「国際芸術祭『あいち2022』」。2020年3月30日(火)に開催された記者会見に、組織委員会会長を務める大林組会長の大林剛郎氏と、芸術監督の片岡真実氏が登壇し、その企画概要が発表されました。
本芸術祭は、愛知芸術文化センターをメイン会場に、2022年7月30日(土)~10月10日(月・祝)までの全73日間開催。「現代美術」「パフォーミングアーツ」「ラーニング」「連携事業」「オンライン展開」の5つの事業から構成されます。
会期に関して、大林会長は「夏休み期間中に、学生や家族連れを含む多くの方々にご来場いただけるように、夏から秋にかけての会期にした」とし、会場については、「愛知芸術文化センター以外の場所でも開催したいと考えており、現在会場の選定を進めている」と述べています。
5つの事業内容に関しては、国内外のアーティストによる最先端の現代美術の作品展示、国内外の先鋭的な演劇、音楽、ダンスなどの舞台芸術作品、幅広い層を対象とした様々な「ラーニング・プログラム」の実施のほか、県内の芸術大学を始め、多様な主体との連携による事業展開、オンラインでの映像配信やプログラムを実施する予定です。
企画体制として、片岡芸術監督が全体を統括し、チーフ・キュレーターの飯田志保子がサポート。「現代美術」「パフォーミングアーツ」「ラーニング」の3つのジャンルに分け、領域としては重なりつつ、それぞれにアドバイザーやキュレーターなどを配置します。片岡芸術監督は「それぞれの役割の方々が、必ずしも中心となる領域に限定されず、横断していく形で機能してもらえれば」とコメントしています。
コロナ禍で海外アーティストのリサーチができないので、「現代美術」ではキュレトリアル・アドバイザーを9名配置。例えば、パラサイト エグゼクティブ・ディレクター/キュレーターのコスミン・コスティナス氏や、南オーストラリア州⽴美術館館⻑のラーナ・デヴェンポート氏、ジャベット・アート・センター キュレトリアル・ディレクターのガビ・ンゴボ氏、美術家の島袋道浩氏などが名を連ねています。また、キュレーターは、愛知県美術館主任学芸員の中村史⼦氏と、キュレーター/グラフィックデザイナーの堤拓也氏が務めます。
片岡芸術監督曰く「(今の時点で、キュレトリアル・アドバイザーには)10~20名ほどのアーティストを推薦していただいており、プレゼンテーションは始まっているが、大変素晴らしいリストが上がってきている。世界は知らないことで溢れているなと、毎回思い知らされて、大変楽しい体験をしている。自分自身が知っているアーティストではなく、自分も知らない芸術祭を作りたいので、様々な視座をあわせることで、誰も観たことのない組み合わせの国際展を作りたい」。
そのほか、「パフォーミングアーツ」のアドバイザーには、愛知県芸術劇場プロデューサーの藤井明⼦氏、アートプロデューサーの前⽥圭蔵氏、キュレーターには、アートプロデューサー/NPO 法⼈芸術公社代表理事の相⾺千秋氏。「ラーニング」のキュレーターには、⼭⼝情報芸術センター(YCAM)アーティスティック・ディレクターの会⽥⼤也氏、アーティスト/スクール・イン・プログレス・コディレクター/ オンゴーイング・スクール・ディレクターの⼭本⾼之氏が名を連ねています。
片岡芸術監督は「海外にリサーチに行くことができず、海外アーティストが来日できるか未定。プログラム、設営のプロセス、リサーチにおいても、あらゆる方法でオンラインの領域を使いながら、国際芸術祭という形を維持していく必要がある。コロナ以降の芸術祭の新しいあり方を一つの実験として行い、どんな風に実を結んでいくか楽しみ」と述べています。
場所に関しては、「私自身、愛知県について勉強したいと思っており、芸術祭を通して、県民の皆さんも知らなかった愛知を知る体験につながれば。単に現代美術を観に行くだけではなく、国際展の醍醐味として、場所や建物の歴史と作品がどう関連付いていくのかが、美術館以外の場所で行う意味を成す」とコメント。
また、前回の「あいちトリエンナーレ2019」で話題となったジェンダーのバランスについては、「ジェンダーだけではなく、文化的な多様性(ダイバーシティ)を取り入れていきたい。海外アーティストと国内アーティストのバランスに配慮したい。優れたアーティストは、世界中にたくさんいる。そこにいる意味があるような選考をしていきたい。基本的には存命作家中心だが、テーマが「STILL ALIVE」なので、亡くなられた作家も入ってくる。」としています。
あいち2022がどんな物語を紡いでいくのか、今から楽しみでなりません。