2021年3月20日(土・祝)より、東京都現代美術館にて、現代のアートシーンに独自の位置を占める作家、マーク・マンダースの、国内の美術館では初となる個展が開催されます。
マンダースは、1986年より「建物としてのセルフ・ポートレート」という独自のコンセプトに沿って、30年以上にわたり一貫した制作を続けています。
「建物としてのセルフ・ポートレート」とは、自らが架空の芸術家として名付けた、「マーク・マンダース」という人物の自画像を、「建物」の枠組みを用いて構築する試みです。建物の部屋に置くための彫刻やオブジェを制作してインスタレーションとして展開し、作品の配置全体によって人の像を構築するというユニークな手法は、作品が内包する類のないビジョン、彫刻の概念を掘り下げる個々の作品の質と相まって、国際的に高い評価を受けてきました。
今回の展覧会では、マンダース本人の構想により、展示全体が一つの作品=「建物」のインスタレ―ションとして構成されています。
実際作品に対峙すると共に、彼が想像した「建物」の部屋の中にも居るという、虚と実が交錯する空間が拡がる様は、マンダース作品の醍醐味の一つといえます。
一方、一つのインスタレーションとして構築されている個々の作品は、同時に独立しています。
私的な記憶や生活、複数の時代や地域の美術史など様々な要素を含んで、計算され緻密に作られた作品群は、静謐さと不穏さが入り混じり、マンダース自身が「凍結した瞬間」と呼ぶ、時間の流れを失ったような世界に我々を誘います。
また、近年のマンダースの重要な個展では必ず出品されてきた代表作も展示。中でも《夜の庭の光景》、《マインド・スタディ》は、それぞれベルギー、オランダの美術館から借用予定の作品で、本邦初公開となるマンダースの代表作です。《マインド・スタディ》は2011年のヴェネツィア・ビエンナーレに出品された作品です。作家が「大好きな作品」だと語る、部屋のインスタレーションも展示予定です。
なお、現在、金沢21世紀美術館でミヒャエル・ボレマンスとの二人展が開催されていますが(会期:2020年9月19日~2021年2月28日)、両者の対話を思わせる展示が印象に残っている方には、作品の見え方の違いを味わうだけでなく、作品の魅力や意味を多面的に知ることのできる稀有な機会となるのではないでしょうか。
マンダースの世界は、その中に入る我々を魅了しつつ、芸術の意味について、想像力や人の生の経験と時間について、改めて考えることを促してくれます。是非感覚を研ぎ澄ませて、じっくりとその世界に触れてみてはいかがでしょうか。
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開催概要
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会 期:2021年3月20日(土・祝)~6月20日(日)
会 場:東京都現代美術館 企画展示室 3F
休 館:月曜日(5月3日は開館)、5月6日
時 間:10:00~18:00
料 金:一般 1,500 円、大学生・専門学校生・65 歳以上 1,000 円、中高生 600 円、小学生以下無料
*優先予約チケットもあり
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