東シナ海に位置する琉球は国際交易の拠点として栄え、海を介してもたらされる異文化を取り込みながら、独自の文化を醸成していきました。そうした国際性や文化交流は、琉球で発展を遂げた工芸品にも大きな影響を与えました。本展では、「国宝 琉球国王尚家関係資料」をはじめ、沖縄県内の美術館・博物館が所蔵する琉球漆器の優品と、日本有数のコレクションを誇る松坂屋の紅型(びんがた)衣裳をとおして、琉球の自然と歴史の中で生み出された美と文化の粋を紹介します。
琉球漆器や琉球特有の染色品である紅型は、文様や技法に中国・日本などの影響が明確に見てとれます。また琉球王国内の状況や国際情勢に応じて、様式の変化が見られます。しかしどの琉球漆器や紅型を見ても、日本とも中国とも、そして東南アジアとも違う、琉球ならではの美の表現がなされており、もっと言えば現在の私たちが抱く「琉球・沖縄」のイメージにも通じる、華やかで彩りに満ちた美を示しています。これらの工芸品は、琉球王国内はもとより、交易品や献上品として国外に輸出され、諸国で珍重されました。工芸品によって国を彩り、国を富ませていた琉球王国の美を、その色とかたちから見ていきます。
また本展では、当館所蔵の志賀コレクションの中から、首里城に掲げられていた扁額をあわせてご紹介します。これは岡崎出身の地理学者である志賀重昻が沖縄から持ち帰ったもので、太平洋戦争の戦禍のために灰塵に帰してしまった首里城の歴史を現在に伝える貴重な資料です。
本展をとおして、彩りに満ちた琉球王国の文化と歴史をご堪能いただけたら幸いです。
開催期間
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上位美術館・ギャラリー
展覧会ジャンル
展覧会
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