ヘレン・フランケンサーラ―[エクスペリメンタル・インプレッション] タイラーグラフィックス・アーカイブコレクション展Vol.31

ARTLOGUE 編集部2018/08/11(土) - 02:30 に投稿

ヘレン・フランケンサーラー(1928-2011)は1950年代に抽象表現主義の第二世代として作家活動を開始し、にじみ止めを施さないキャンバスに薄く溶いた絵の具を注いで染み込ませる、ステイニングという技法を用いた絵画によって注目を集めました。

即興的な色面の広がりが独創的な絵画空間を生み出す作品は、モダニズムにおける抽象絵画の最良の実践として高く評価され、彼女はアメリカ美術に大きな足跡を残しました。

またフランケンサーラーは1960年代初頭にはじめてリトグラフに取り組んで以来、さまざまな工房を舞台に版画制作にも一貫して情熱を傾け、数々の名作を世に送り出してきました。

彼女が手がけた版画技法は銅版画、木版画、シルクスクリーン、モノタイプとあらゆる種類に及びますが、そのいずれにおいても技術的な熟達のみならず、既存の概念にとらわれない発想によって技法の新たな地平を切り拓くような作品を生み出し、こうして版画はフランケンサーラーにとって、絵画と並ぷ重要な表現媒体となりました。

とくに1977年にはじまったタイラーグラフイックス版画工房との共同制作では、工房の高い技術力を背景に革新的な作品を数多く発表しました。

さまざまな技法を駆使して、織細さと大胆さをあわせもった造形やみずみずしい色彩を実現した画面は、今なお私たちを惹きつけてやみません。

展覧会タイトルにある「エクスペリメンタル・インプレッション=実験的な刷り」とは、フランケンサーラーが1978年に制作したモノプリント(一点制作の版画)のシリーズのタイトルですが、表現の新たな可能性をつねに追い求めた彼女の版画作品全体を指す言葉ともいえます。

本展はCCGA所蔵のタイラーグラフィックス・アーカイブコレクションの中から、1970年代から2000年代までの長きにわたりフランケンサーラーと同工房の共同制作から生まれた版画作品を展示し、その魅力をご覧いただきます。

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