中国地方最高峰・大山[だいせん]は鳥取県西部、伯耆国の中央に位置し、周辺の因幡、出雲、美作などの国々からも遠望できる山岳です。『出雲国風土記』には「火神岳[ひのかみだけ](大神岳)」とあり、古くから大智明権現[だいちみょうごんげん](本地地蔵菩薩)が御座す山として信仰を集めてきました。
大山は養老2(718)年に開山と伝えられ、『大山寺縁起』では出雲の猟師が地蔵菩薩に導かれて出家し金蓮上人[きんれんしょうにん]となり、南光院や中門院、西門院を開いたとしています。平安時代には大山北側に地蔵信仰を核とし、3院から構成される天台宗の大山一山が成立し、山岳修験の霊地として都にも知られる存在となりました。こうした大山における歴史的展開は、大山寺や大神山神社の建造物、仏像、工芸品や歴史資料などからうかがい知ることができ、その多くが指定文化財となっています。
また、この地域では古くから、大山山麓で産出する砂鉄を使用し、鉄穴[かんな]流しとたたら製鉄で鋼[はがね]を生産していました。こうした背景のもと、平安時代には、反りのある日本刀では日本最古級の名匠として知られる刀工・伯耆安綱を輩出しました。
本展は、大山開山1300年を機に、大山を中心に古代から現代へ連綿と続くこうした地域の歴史や文化の一端をひもといていくことによって、あらためて大山がもたらす恵みを知り、地域の良さを見直すものです。
1伯耆の刀匠「安綱」を中心に、2大山の重宝、3大山寺圓流院画僧嗒然[とうぜん]、4たたらと刀剣製作工程以上の4章で紹介します。
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