吉田博(1876-1950)は、明治から昭和にかけて、水彩画、油彩画、本版画の分野で西洋画壇を牽引した画家として知られ、太平洋画会の中心人物として活躍しました。44歳で自身の下絵による木版画が出版された後、49歳にして初めて自身の監修による木版画の作品を発表し、西洋の写実的な表現と日本の伝統的な木版画技法を統合した新しい木版画の創造をめざしました。 博は、こよなく自然を愛し、自然のなかにこそ美があるとし、自然とそれを直接見ることのできない人との間にたって、その美を表わすことを画家の使命としました。博の作品のほとんどは風景画で占められており、その取材範囲は、日本はもとより世界各国に及んでいます。 本展では、富士山の雄壮な姿を描いた「冨士拾景」や刻一刻と変化する海の表情を表した「瀬戸内海集」をはじめ約80点を紹介します。
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