須田悦弘(すだ・よしひろ)は、本物と見間違えるほどに精巧な花や草木の彫刻作品をインスタレーションと呼ばれる展示方法で発表し、国内にとどまらず海外でも高い評価を受けている気鋭の美術作家です。独学で木彫の技術を身につけた須田は、薄い花びらや葉、細い蔓などを朴の木から繊細に彫りおこして彩色し、さまざまな植物を制作してきました。たった一輪の花や小さな雑草の作品が置かれることで、空間全体の見え方が大きく変わり、私たちに新鮮な驚きをもたらす須田の作品は、見ることそのものの意味を静かに問いかけているようです。
同美術館に併設されたクレマチスガーデンでは、約250品種2,000株以上のクレマチスが1年を通じて咲き、季節ごとに庭園を華やかに彩ります。クレマチスもまた、作家にとって尽きることのない魅力をもつ花であり、本展ではクレマチスを中心とする最新作が多数ご覧いただけます。園芸品種としての歴史や、造形的な美しさへの関心から、対象を深く観察し作られる須田のクレマチスは、美に対する私たちの感性を刺激してやみません。古来より人々が自然に魅せられ、愛でてきたこと、そして文化を育み、芸術作品を享受してきたこと、植物への洞察と考証から生み出される須田の作品は、それらについて自然とアートの重なる場所で、新たな視点を提示してくれることでしょう。
美術館と庭園に咲き誇る2つのクレマチスの競演を、ぜひご堪能ください。
【開館時間】
4–8月 10:00–18:00/9・10月 10:00–17:00(入館は閉館の30分前まで)
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