佐久市立近代美術館の代表的な収蔵作品である、平山郁夫《仏教伝来》。この作品には、長大な旅の途中でオアシスにたどり着いた玄奘三蔵(602-664)の姿が描かれています。 玄奘三蔵は、中国・唐時代の憎で、『西遊記』に登場する三蔵法師のモデルとして知られています。27歳のとき、当時まだ中国に伝わっていなかった教えを持ち帰るために、仏教発祥の地である天竺(インド)へと旅立ちました。 原爆の後遺症に苦しみながら作品の方向性を探っていた平山は、《仏教伝来》の制作をきっかけに、険しい山脈や砂漠を越えて目的の地へとたどりついた玄奘三蔵の生涯に触れ、自身の進むぺき道を見出します。平山はその後、玄奘三蔵が旅したシルクロードを何年もかけて取材し、異国の広大な情景を大画面の日本画に展開していきました。 この展覧会では、玄奘三蔵の教えが伝えられた薬師寺が所蔵する、仏像や経典などの玄奘三蔵にまつわる宝物とともに、《仏教伝来》を中心に平山の作品を幅広く展示します。玄奘三蔵と平山郁夫、それぞれの旅に思いを馳せてみてください。
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