神、魔、人…鏡花文学に登場する女人たちは、正体がはっきりしないことも多く、謎の存在です。彼女たちは人形と通じ合うものがあります。人形もまた本来は無機質なものながら、命あるものの気配を漂わせる謎めいた存在です。特に「球体関節人形」は、現代の「生き人形」と言うべきリアルな人形で、「本当に生きているのかもしれない」「心があるのかもしれない」と錯覚させられるほどの存在感があります。
数多の球体関節人形作家の中でも、その草分け的な存在である吉田良の作品は、存在感の迫力で抜きんでており、また、想像力をかきたてる「物語性」を濃厚に秘め、鏡花の文学世界を表現するのにふさわしい人形と言えましょう。
吉田良及び、その指導を受けた現代人形作家が、鏡花文学のヒロインを制作しました。また、鏡花が執筆した明治末から大正期に、作品を飾った挿絵や装頓についても紹介します。鏡花の装慎本はその美しさから、古書界では特に「鏡花本」と呼ばれて珍重されています。「泉鏡花」という100年以上も前に確立された美学を、現代の感性によって表現する試みです。
※8月21日(火)より一部展示を替えて後期展開始
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上位美術館・ギャラリー
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