本展では、山種美術館が所蔵する江戸時代の浮世絵から近代・現代の日本画まで、水が描かれた作品を厳選し、ご紹介いたします。奥入瀬渓流に取材した奥田元宋(おくだげんそう)《奥入瀬(秋)》、鳴門海峡の渦潮を描いた川端龍子(かわばたりゅうし)《鳴門》や奥村土牛(おくむらとぎゅう)《鳴門》は、川や海の流動する姿を生き生きと捉えています。また、土牛《那智》や千住博(せんじゅひろし)《ウォーターフォール》においては、勢いよく流れ落ちる滝が迫力ある大画面に描かれ、水の持つ神聖さも感じさせます。一方で、激しい夕立のなか、橋を行き交う人々を描いた歌川広重(うたがわひろしげ)(初代)《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》[後期展示]や、雨に煙る山路を表した川合玉堂(かわいぎょくどう)《渓雨紅樹(けいうこうじゅ)》は、情趣豊かに雨の風景を描き出しています。
これらの作品を通して、水の表現の幅広さとともに、画家たちが水に向けてきたまなざしや思いを感じていただければ幸いです。暑い夏の季節に、涼やかな水の絵画をお楽しみください。(作品はいずれも山種美術館蔵)
※会期中、一部展示替えあり(前期:7月14日~8月5日、後期:8月7日~9月6日)
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