かつて江戸を基点につくられた五街道をはじめ、全国各地の街道は、明治以降の鉄道や自動車道といった交通網の整備を経て、現代の私たちの生活においても、さまざまなかたちでその名残を留めています。また、街道沿いの宿場は行き交う物や人の出会いの場として、独特の風情ある景色が醸成されていきました。
洋画家・向井潤吉(1901-1995)は、戦後、全国各地の草屋根民家を描くなかで、こうした歴史の重なりを感じさせる街道や宿場の風景にも数多く出会いました。向井は民家を探し出す際、地図を頼りに“街道”という地名の残る土地を巡ることも多かったといいます。道筋に立ち並ぶ民家、木漏れ陽の道、雨に濡れた宿場の道―。いずれの作品も、山野に抱かれる民家とはまた異なる、旅情豊かな向井の感慨がこめられています。
本展では、向井潤吉が描いた街道や宿場を中心に、人々の暮らしをつなぐ往来とともに描かれた民家の風景をご紹介します。油彩、水彩作品とあわせて、妙味あふれる旅のエッセイもお楽しみください。
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