荒井茂雄《楽園》1974年 丸山晩霞記念館蔵
長野県に生まれた荒井茂雄(1920- )は、幼い頃から絵を得意とし、同県上田市で友禅と日本画を学んだ後、猪熊弦一郎(1902-1993)に師事します。以降、洋画・日本画という区分や一つのスタイルにとらわれることなく、新たな表現への探求を続けてきました。
初期には花や鳥などをモチーフとした油彩画を制作しますが、80年代半ばより、色彩豊かで実験的な抽象表現や、身近な日用品を組み合わせた立体作品を手がけるようになります。そして近年では、自らの作品や浮世絵などのイメージを組み合わせたコラージュに着手するなど、その表現の展開は豊かな様相を呈しています。
一方で、いずれの時期においても、鮮やかな色彩を巧みに操る感覚や、素材やモチーフの意外な組み合わせ、日常の中にあるものへの新鮮なまなざしなど、猪熊の教えを受け継ぎつつ、荒井が確立した固有の精神が息づいています。
荒井は、猪熊ゆかりの地である丸亀市や当館と長年深く関わり続け、2016年度には丸亀市文化振興賞を受賞しました。本展は、時期ごとの代表的な作品、そして97歳にして取り組んだ最新のシリーズをあわせて展示し、その70年以上におよぶ画業を「第二の故郷」丸亀で一堂にご紹介する機会となります。
<見どころ>
---------------------------------------------------------------------------------------
■70年を超える画業を展望
荒井茂雄は、第二次世界大戦中に配属された横須賀海軍砲術学校の画室で出会った行木正義(1909-2004)の紹介で、戦後、猪熊弦一郎に師事することとなります。荒井は、猪熊と出会った時を自らの画家としての出発点と位置づけています。本展では、1946年の猪熊との出会いから、現在に至るまでの長い画業を展望します。一つのスタイルに留まることのない多彩な表現は、常にその時々における自分自身と対峙し続けてきた軌跡でもあります。
■最新シリーズ《歴史物語り》より、未発表作品も紹介
近年では荒井は、浮世絵や古書から引用した多様なイメージを用いたコラージュ作品に挑戦しています。その最新のシリーズ《歴史物語り》を、未発表作品もあわせてご紹介し、98歳を間近にしてなお衰えぬ創作意欲を見せる芸術家の生き様を浮かび上がらせます。
■丸亀での初となる個展
猪熊弦一郎の精神や制作活動を最もよく知る荒井は、当美術館の活動に協力することを通して、丸亀市の文化振興に貢献してきました。その功績により、2016年度の丸亀市文化振興賞を受賞し、「丸亀は第二の故郷」と語りました。猪熊ゆかりの地であり、荒井自身も強い愛着を抱く丸亀市そして当館では初めてとなる個展を開催いたします。
■猪熊弦一郎との交流を示す資料
荒井は、猪熊から弟子ではなく「パートナー」と呼ばれていたほど、二人の間には強い信頼関係が築かれていました。その親密な交流が分かる関連資料として、写真や書簡等もあわせて展示します。
<関連プログラム>
---------------------------------------------------------------------------------------
キュレーターズ・トーク
本展担当キュレーター(高木瑞季)が展覧会をご案内いたします。出品作品について、感想や意見などを一緒に話しながら鑑賞しましょう。
日 時:2018年5月6日(日)、6月3日(日)、7月1日(日)各日14:00〜
参加料:無料(ただし展覧会チケットが必要です)
申 込:不要。1階受付前にお集まりください。
<展覧会概要>
----------------------------------------------------------------------------------------
展覧会名:荒井茂雄展 人生の詩
会期:2018年4月14日(土)〜7月1日(日) 会期中無休
時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 2階展示室A・B
料金:一般950円(760円)、大学生650円(520円)、高校生以下または18歳未満無料
丸亀市内に在住の65歳以上・各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
※( )内は20名以上の団体料金
※同時開催常設展「猪熊弦一郎のおもちゃ箱」観覧料を含む
◆同時開催展
常設展「猪熊弦一郎のおもちゃ箱」(3階展示室C)
2018年4月14日(土)〜7月1日(日) 会期中無休
荒井茂雄展 人生の詩 フォトギャラリー
※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為は法律で禁止されています。
開催期間
-
上位美術館・ギャラリー
画像
アクセス数
20
3
23