「ドザえもん」は言葉遊びの作品。私の オリジナル 作品として、ある漫画から引用し、タイトルはカタカナと平仮名で表記しているが、元になっている言葉は「土左衛門」と漢字で表記する。江戸時代の大相撲の力士の名前であり、水で溺れて亡くなった死体が、その力士に似ていたのだという。江戸時代の言葉が現代にも生き続けているように、引用した漫画もまた、昭和から現在に至るまで、世代を超えて支持され続けている。
岡本 光博
■開催期間 2017 年 12 月2 日(土)~2017 年 12 月23 日(土・祝) 開廊 12 :00 ~ 19:00 会期中日月休廊
■参加アーティスト
岡本 光博
1968 年京都府生まれ。滋賀大学大学院修了。主な個展に平成 26 年「マックロポップ」、平成 28 年「69」
以上 eitoeiko、平成 29 年の参加展覧会に「ラブラブショー 2」青森県立美術館、「ARTZUID」アムステルダム、
水族館劇場「廃墟のるなぱあく」(横浜寿町・横浜トリエンナーレ関連プログラム)など。
■制作協力
橋本 修一(グラフィックデザイナー)
■スペシャル
自由を育み、あくなき想像力をかき立てる漫画やアニメが、巨大コンテンツに回収されようとする昨今。情報の氾濫する 21 世紀社会に、可能な限りの欣慕と憧憬と恩返しをこめて、文化の浮き沈みを表現いたします。アートの社会を写す鏡としての機能をさぐる美術家、岡本光博の作品とともに、会期中にあらわれるかもしれない様々な反応も、展示の一部として公開させていただきます。
癸生川 栄 (eitoeiko 代表 )
■ 鑑賞者からのメッセージ
2000 年の「キッズアートワールドあおもり」で展示された《ドザえもん》から17 年。満を持して開催される個展が、今回の「THE ドザえもん展 TOKYO 2017」である。思えば、この間に日本の現代アートシーンは、著作権ビジネスに大きくすり寄っていった。前回の出品から、その後著作権に関わるさらなる問題提起を続ける岡本が再び「ドザ」の新作を制作してくれたことが嬉しい。さらに、この17 年の間にキャラクタービジネスも目覚しい商業偏重化を遂げた。その「権化」を再び選び、「遺体」を制作した彼はまさに皮肉や風刺を好んだ藤子・F・不二雄の後継世代といえるだろう。国民的キャラクターと、最先端の現代アートとの「真」なるコラボレーションに、多くの観客が瞠目するにちがいない。
工藤 健志(青森県立美術館総括学芸主幹)