松井智惠
龍野アートプロジェクト2017「龍野アートスケッチ」
開催概要
龍野アートプロジェクトは、地場産業の拠点である醤油蔵などの文化財を活用し、優れた芸術を国内外に発信するとともに、人々の集まる拠点づくりを目的として2011年よりスタートいたしました。2017年9月にはパリの兵庫県パリ事務所にて龍野アートプロジェクト2017inパリを開催、たつの市では龍野アー トプロジェクト2017「龍野アートスケッチ」を実施、ポーランドの映像作家を招き、映像作品の上映とワークショップ、関連作家小品展、ライブ等を行い、日波の相互理解と国際交流、国際発信を目指します。
芸術監督:加須屋 明子
京都市立芸術大学美術学部・美術研究科教授
<開催概要>
■開催日時:2017年11月16日~26日 10:00~17:00
※11月22日は休館、ガレリアアーツ&ティーは11:00~18:00
起点としての80年代
1970 年代のコンセプチュアルでストイックな表現に対する反動から、80 年代の日本では絵画や彫刻の復権が唱えられ、好調な経済状況を背景として、色彩豊かで伸び伸びとした筆遣いの「ニュー・ペインティング」などが広まりました。
しかし、90 年以降の美術は、むしろ「おたく」など80 年代のサブカルチャーに影響を受けた表現が主流となります。そのため、それ以降、80 年代の美術は参照されることが少なくなってしまいました。近年、「具体」や「もの派」など1970 年代までの戦後日本美術に関する研究が国内外で急速に進んでいます。今こそ、70 年代と90 年代のはざまにある80 年代の日本美術について深く見つめる時期に来ていると言えます。約30 年を経た今日から振り返ると、80 年代は、今日の美術において重要なインスタレーションという形式、作品制作への参加や社会との関係への意識、オルタナティブ・スペース、 メディア・アート、「美術」という制度を相対化する視点、日常性や軽やかさを大切にする感性などが新たに生まれた、充実した時代であったことがわかります。本展では今日の視点から80 年代の日本の美術を見詰め直し、「起点」となる作品を紹介します。