戸谷成雄

アート遊覧紀行—自然と人間をめぐって—

ARTLOGUE 編集部2018/05/17(木) - 11:22 に投稿
永井一正 《KAZUMASA NAGAI DESIGN LIFE(ライオン)》1993年

 

群馬県立館林美術館は、2001年の開館以来「自然と人間の関わり」をテーマとした作品収集や展覧会活動を行ってきました。群馬県で2館目の県立美術館として、豊かな自然に囲まれた環境のなか、特徴を持った美術館となることを目指して収集した油彩、彫刻、版画などのコレクションは現在940点ほどを数え、近現代美術のユニークな作品が揃っています。
今回は、当館のコレクションを存分にご覧いただく機会として、200点を超える作品を「人」「動物」「自然」の3つの具体的なモチーフに分けて紹介します。
人間を生み育んできた大いなる自然、共に生きる存在としての動物、そして人間そのものに対して、アーティストたちがどのような眼差しを向け、どのように表現してきたのか、並べてみることにより、アートによって表現される世界の豊かさ、奥深さを感じ取ることができるのではないでしょうか。
様々なアーティストたちによる自然と人間の表現をめぐる旅を、どうぞお楽しみください。

 

アートを発信する―原美術館発国際巡回展の軌跡

ARTLOGUE 編集部2018/03/13(火) - 12:43 に投稿
戸谷成雄「森Ⅱ」1989-90年 ©Shigeo Toya

 

原美術館が 90 年代に企画・主催した3つの国際巡回展に焦点をあてた展覧会を別館ハラ ミュージアム アークにて開催


ハラ ミュージアム アーク本館にあたる原美術館[東京都品川区 館長:原俊夫]が企画・主催した3つの国際巡回展、「プライマルスピリット-今日の造形精神」(1990-91 年)、「空間・時間・記憶-Photography and Beyond in Japan」(1994-97 年)、「倉俣史朗の世界」(1996-99 年)に焦点をあてた展覧会を開催いたします。

いずれも日本の優れた現代美術を海外に紹介する目的で、彫刻・写真・デザインというそれぞれ異なる表現方法を用いた作品群により構成された大型プロジェクトでした。
本展では、原美術館コレクションの中からこれらの企画展に出品したアーティスト達による作品をクローズアップし、その発信の軌跡を辿ってみたいと思います。

【出品作家】
荒木経惟、遠藤利克、笠原恵実子、川俣 正、倉俣史朗、剣持和夫、佐藤時啓、杉本博司、土屋公雄、戸谷成雄、野村 仁、福田美蘭、森村泰昌、山本 糾、草間彌生、束芋

戸谷成雄―現れる彫刻

ARTLOGUE 編集部2017/11/02(木) - 18:22 に投稿
《《境界》からⅤ》1997-98年 木、灰、アクリル塗料 h315×w538×d2060cm 
撮影:成田弘(会場:栃木県立美術館) 画像提供:ケンジタキギャラリー

このたび、武蔵野美術大学 美術館・図書館では、展覧会「戸谷成雄―現れる彫刻」を開催します。

彫刻家・戸谷成雄(とや しげお/ 1947年生まれ)は、「ポスト・ミニマリズム」や「もの派」といった現代美術の流れのなかで旧来の制度として解体された彫刻の再構築を試み、彫刻の本質とその可能性を提示してきました。1970年代に彫刻概念の再定義を試みたコンセプチャルな作品シリーズを発表した後、チェーンソーなどを 使った木彫作品を中心に1984年から「森」シリーズ、1994年から「《境界》から」シリーズ、2000年頃から「ミニマルバロック」シリーズなどへとその試みを展開させていきました。1988年にヴェネチア・ビエンナーレに参加して以降、国際展へと発表の場を広げ、日本の現代彫刻を牽引する存在として高く評価されています。

起点としての80年代

ARTLOGUE 編集部2018/08/04(土) - 16:19 に投稿

1970 年代のコンセプチュアルでストイックな表現に対する反動から、80 年代の日本では絵画や彫刻の復権が唱えられ、好調な経済状況を背景として、色彩豊かで伸び伸びとした筆遣いの「ニュー・ペインティング」などが広まりました。

しかし、90 年以降の美術は、むしろ「おたく」など80 年代のサブカルチャーに影響を受けた表現が主流となります。そのため、それ以降、80 年代の美術は参照されることが少なくなってしまいました。近年、「具体」や「もの派」など1970 年代までの戦後日本美術に関する研究が国内外で急速に進んでいます。今こそ、70 年代と90 年代のはざまにある80 年代の日本美術について深く見つめる時期に来ていると言えます。約30 年を経た今日から振り返ると、80 年代は、今日の美術において重要なインスタレーションという形式、作品制作への参加や社会との関係への意識、オルタナティブ・スペース、 メディア・アート、「美術」という制度を相対化する視点、日常性や軽やかさを大切にする感性などが新たに生まれた、充実した時代であったことがわかります。本展では今日の視点から80 年代の日本の美術を見詰め直し、「起点」となる作品を紹介します。