女性たちを愛した、20世紀を代表する万能の芸術家マン・レイ。マン・レイの女性観を体感できる「マン・レイと女性たち」展が、「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催中!

遠藤 友香2021/08/31(火) - 16:32 に投稿
「マン・レイと女性たち」

アメリカとフランスで活躍し、今もなお世界的な人気を誇る芸術家、マン・レイ。マルチな才能を発揮し、自らを「万能の人」レオナルド・ダ・ヴィンチに例えた彼は、その独創的な撮影スタイルや技法で、大胆さと優美さを持つモデルたちの魅力を引き出し、多くの傑作を生み出しました。

マン・レイは、ニューヨークでは既存の価値の破壊を目指すダダイストを名のり、芸術活動を開始。1921年に文化・芸術の中心地であったパリへ渡り、そこで多くの女性たちと出会います。彼は親しい女性たちをモデルにし、写真では、ときに優しく甘美で、ときに強く自立的で、ときには神々しいまでに美しい女性像を生み出しました。女性という存在が作品制作における重要なテーマとなり、彼と人生の一時期を共にした女性たちは、新しい時代に生きる自由な女性像、あるいは時代の“ミューズ”として、写真をはじめ、マン・レイのさまざまな作品に登場します。

9月6日(月)まで「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催中の「マン・レイと女性たち」展では、様々な愛と別れ、知的な発見や考察、冒険や遊びを体験していく時間軸を経糸にし、その時々のミューズとなった女性たちを緯糸にして、親密で詩的で機知に富んだ創作の世界を繰り広げたこの芸術家を、合計250点を上回る選りすぐりの作品で振り返ります。

本展では、マン・レイの生涯を、第1章「ニューヨーク」(1890-1921)、第2章「パリ」(1921-1940)、第3章「ハリウッド」(1940-1951)、そして第4章「パリふたたび」(1951-1976)といった4つの時代に分け、20世紀のさまざまな芸術潮流とファッションを追いながら、その時々に登場する女性たちに焦点を当てていきます。

見どころとして、以下3つのポイントが挙げられます。
 

■ポイント1
前衛美術のミューズとなった女性たち:女性を美しく、同時に客観的な目で捉えた写真家マン・レイ

マン・レイは1921年に文化・芸術の中心地であったパリへ渡り、「パリのアメリカ人」となってモンパルナスに暮らし、芸術家や文学者、モード界や社交界の人々と広く交流しながら、様々な出会いと恋愛を経験します。恋人だったキキ・ド・モンパルナスやリー・ミラーのほかにも、多数の女性アーティストたちと絶えず交友し、彼女たちを、新しい時代に生きる自由で自立した女性像として写真に残しました。
 

■ポイント2
シュルレアリスムとファッション
1920-30年代パリのアートとモード:マン・レイの新しい「目」と「センス」

シュルレアリストとしてモード誌に登場したマン・レイは、モデルをオブジェのように捉えたり、写真の新技術を取り入れるなど、ファッション写真に新風を吹き込みました。作品に魅了されたモード界、社交界の人々は進んでマン・レイの被写体になることを望み、そのポートレート群は一時代の西欧文化を見わたせるほどです。マン・レイの「交友録」ともいえるポートレートを中心に、新しいセンスで構成されたファッション写真の数々、当時のドレスやジュエリーも紹介します。
 

■ポイント3
遊びとユーモアとエスプリ:「万能の人」マン・レイはその自由な「手」で、それらを作品化しつづけた

写真家としての名声のほか、画家であり映画作家であり文筆家でありデザイナーでもあったマン・レイは、芸術の諸領域を自由に行き来していた「万能の人」でした。たえず新しい技法を案出しながら変貌をつづけ、技術よりアイデアを重んじてきたその作品世界には、堅苦しいところや力んだところがありません。マン・レイは女性たちをテーマにして、作品世界をどのように展開したでしょうか。

本展を監修した仏文学者・美術批評家・明治学院大学名誉教授の肩書を持つ巖谷國士氏は、「マン・レイは20世紀を代表する多才な芸術家ですが、生涯にわたって数多くの女性像を残しました。写真作品だけを集めても、一時代の女性文化のギャラリーができるほどです。恋人や友人、女性シュルレアリストや女性芸術家から、社交界、モード界、映画界の女性まで―マン・レイは彼女たちと対等に接し、偏見のない客観的な目で、それぞれの美しさを定着しました。その女性観には今日にも必要な新しさがあります。本展では、そうしたマン・レイ自身と出会えるだけでなく、自由に生きた20世紀の女性たちと対話することもできるでしょう」と述べています。

ぜひ、マン・レイの世界観を体感しに、会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
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​​​​開催概要
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■「マン・レイと女性たち」
会 期:2021年7月13日(火)〜9月6日(月)
会 場:Bunkamura ザ・ミュージアム
時 間:10:00~18:00
*金・土曜日は21:00まで
*入館は閉館30分前まで
休 館:7月20日(火)
料 金:一般1700円(前売り1500円)/大学・高校生800円/中学・小学生500円/未就学児無料
*学生券をお求めの場合は、学生証要提示(小学生は除く)
*障がい者手帳の提示で、本人様と付き添いの方1名様は半額となります。
(一般850円、大学・高校生400円、中学・小学生250円)
当日窓口にてご購入ください。
URL:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_manray/

 

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