COVID-19の影響により臨時休館中の東京国立近代美術館において、展示の再開が待たれている『ピーター・ドイグ展』の会場の様子を収録した3DVRコンテンツが無料公開されました。先立って公開された森美術館での『未来と芸術展』3Dウォークスルー同様に臨場感のある展覧会の疑似体験ができます。
『ピーター・ドイグ展』3DVR
ピーター・ドイグ(1959-)は、ロマンティックかつミステリアスな風景を描く画家です。今日、世界で最も重要なアーティストのひとりと言われています。彼は、ゴーギャン、ゴッホ、マティス、ムンクといった近代画家の作品の構図やモチーフ、映画のワンシーンや広告、彼が過ごしたカナダやトリニダード・トバゴの風景など、多様なイメージを組み合わせて絵画を制作してきました。 私たちが彼の作品に不思議と魅せられるのは、誰もがどこかで見たことのあるイメージを用いながらも、見たことのない世界を見せてくれるからだと言えるでしょう。
『ピーター・ドイグ展』3DVRコンテンツは、ドイグのロマンティックでミステリアスな作風をクオリティの高い映像で十二分に再現しています。東京国立近代美術館において企画展を行っている1Fの企画展ギャラリーに展示された同展のすべての展示ならびにミュージアムショップまで展覧会の全体を見ることができます。床や壁面にマークされた鑑賞ポイントをたどっていけば、まるで会場に実際に訪れているかのように、展示空間全体の雰囲気を味わい、遠目から作品の全体像を把握し、作品に近づいて一点ずつじっくり鑑賞することができます。
各作品のキャプションや展示解説の動画などはポップアップで表示され、会場内のコンテンツを楽しむことができます。また、ミュージアムショップにあるポップアップからはオンラインショップに行くことができ、レアなミュージアムグッズが入手できます。
公開された3DVRコンテンツは、『未来と芸術展』3Dウォークスルーと同様に、4K3D対応カメラ「Matterport」、3Dレーザースキャナ「Leica BLK360」などの撮影機材を使って収録されています。解像度が高く、リアルな鑑賞と変わらないクオリティで収録されており、実際に会場に訪れているかのように鑑賞できるので、十分作品の良さを感じることができます。
しかし、それだけに余計に、作品の持つ鮮やかな色彩やストーリーを想起させる画面、幅3メートルを超えるインパクトのある作品もあるスケール感など、パソコンやスマートフォンの画面からでは十分得られない感動を、ぜひこの眼で見て、空気を感じたいという衝動にかられるのも事実です。
なお、同展公式サイトでは、3DVRコンテンツ以外にも、臨時休館中の期間限定コンテンツとして、公式図録の一部公開や「ニコニコ美術館」ドイグ展特集番組を公開しています。公開されている図録の内容は、会期中にトークイベントを行う予定だった作家の小野正嗣さん、同館主任研究員の桝田倫広さんの寄稿文を読むことができます。「ニコニコ美術館」ドイグ展特集番組は臨時休館に入ってから、2020年3月18日に「ニコニコ生放送」で配信された番組を特別に公開しているものです。
同展会期終了の6月14日まではまだ時間がありますので、展示再開を楽しみに、この3DVRコンテンツを見て待ちたいところです。
『ピーター・ドイグ展』3DVR
『ピーター・ドイグ展』公式サイト
https://peterdoig-2020.jp