2019年7月12日、国政選挙に於いて日本初となる全ての候補者に文化芸術に関する活動実績や、当選後の施策などを「文化芸術マニフェスト」として問い、WEB上で公開するプロジェクト「 ManiA(マニア・Manifest for Arts)」の回答が公開されました。
初の試みながら、370人の候補者の内、148人からご回答いただきました。
必死で選挙戦を戦っている最中にお答えくださった候補者の方々に心から感謝いたします。
もちろん「文化芸術マニフェスト」の有無、質だけで国会議員を選ぶわけではないですが、個人的には今回のご回答を通して沢山の方の知らなかった一面を発見することが出来ました。やはり自分の関心が高いことに対して、どの様なお考えを持っているのかを知ると投票時の判断に影響すると感じます。
皆さまにも、この ManiA を投票時の一つの判断材料にしていただけると嬉しいです。
その一方で、文化芸術立国である日本に於いて、約2/3の候補者からご回答いただけなかったことは大変寂しくもあります。
残念ながら7月3日に行われた日本記者クラブ主催の7党の党首討論会でも文化芸術に関しては一切話題になりませんでした。
今回、改めて政治の場で文化芸術がないがしろにされている現状を顕在化させることが出来ました。
現状をスタートとし、今後、どこまで政治家に文化芸術に対して意識をさせられるかが重要です。
また、文化芸術側が政治家にお願いをするだけでは駄目です。限られた時間を文化芸術の発展のために割いてくれた議員が、その活動でしっかりと議員としての実績になり社会的に認められるように世論を形成する必要があります。
もちろん、日本には様々な問題があり、人によって優先順位が違うでしょうし、「文化芸術なんて遊んでいる暇はない」とおっしゃる人もいるでしょう。
しかし、ARTLOGUE のビジョンは「Arts for Human and Planet」であり、文化芸術やアート、クリエイティブには、より良い社会を実現させるために有益だと考えています。
環境、貧困、飢餓、紛争・テロなど社会的課題の多くは「人災」です。つまり、より良い社会を実現するには「人」を変える必要があります。
文化芸術には人を思いやる想像力と、新しいモノゴトを生み出す創造力を身につける力があります。情操教育としてのみならず、先の見通せない現代に於いて、未来社会を担う次世代のリーダーになりうるビジョナリーを育てるためにも役に立つでしょう。
様々な研究からも文化芸術には、「多様性を育む」「環境を変える」「観点変換」「社会包摂」「地域活性化」「都市のレジリエンス」「問題提起」など、多くの力があることが確認されています。
海外では、アートを大量に導入した病院で、患者の入院日数減少、薬の使用量約4割減少、さらには認知症が改善したなど、医療費や病院運営費が大幅に削減した例も出ており、アートセラピーの領域で定量的に良い効果が現れてもいます。
なぜ、人類は生き延び、発展したのか定かではありませんが、有史以前より人類と共に発展してきた文化芸術には、人類の発展と密接に結びつく何かがあるのではと想像します。
政治家の皆さまには、日本に培われた文化芸術の力が損なわれることなく活かされ、文化的な土壌を基底に心豊かな社会が実現されるためにも、文化芸術を「人類の生存戦略」と位置づけ、国づくりに活かしていただきたいと願います。
株式会社アートローグ
代表取締役CEO 鈴木大輔