このたび当館では、下記の通り特別展「諷刺画にみる幕末から明治の庶民」を開催いたします。所蔵資料や寄託資料から60点を選び、幕末から明治の庶民を生き生きと描いた浮世絵をご紹介いたします。
戊辰戦争前後の新政府が確立していく時期、特に慶応3年(1867)10月の大政奉還から翌年4月の江戸開城までに制作された諷刺画には、幕末の江戸の人々が抱いていた政治や社会情勢に対する感情が表れているといえます。その多くは、歌舞伎や故事になぞらえたものや各地の名産で読み解くものなどですが、本展では特に合戦を子供の遊びに見立てたものを中心に展示いたします。無邪気な子供をモチーフにした「見立て子供遊び絵」では、二手に分かれておもちゃの鉄砲や大砲で戦う姿、綱引きや相撲、竹馬で競う様子などが描かれていますが、子供たちの着物に施された符号によって巧みに当時の世相を諷刺しており、徳川慶喜、天皇、諸藩の描かれ方や台詞によって江戸庶民の心情を読み解くこともできます。この展示を通して、当時の庶民の気持ちに触れていただければ幸いです。なお、本展は2012年の特別展「幕末から明治の諷刺画」に引き続き、本学名誉教授M. ウィリアム・スティール氏の監修を賜りました。
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