マネックス証券が実施しているアートプログラム「ART IN THE OFFICE」をご存知でしょうか。
公募によりアーティストを1名(1組)選出、社内のプレスルーム(会議室)を応募作品の発表の場として約1年間提供するだけでなく、選出されたアーティストに50万円の賞金および10万円の制作費を授与するというもの。オフィスでの滞在制作が応募条件となるのが特色です。
現代アートで活躍する新進アーティストの支援に加え、アーティストの滞在制作中、マネックス証券の社員がアーティストとの出会いで啓発、触発されることを目的に始まりました。
そして11回目となる今年。金子未弥(かねこ・みや)氏の作品「見えない地図を想像してください」が選出され、この6月に完成しました!
金子氏は制作にあたり、約2週間かけ、社員に向けたワークショップをプレスルームで複数回実施。
回を追うごとに、参加者ひとりひとりの記憶や経験から紡ぎ出された唯一無二の地図が幾重にも重なり、壁面には場所の名前が増えていきます。
それらが線で結び合わされ、次第に、多面体の展開図のような巨大な像が浮かび上がってきました。
プレスルームを覆うように広がる像はいうなれば記憶の風景。訪れる人は、つかの間、ここで働く人の記憶から立ち昇る風景を共有します。
金子未弥氏コメント
ここに見えない地図が書かれていると想像してください。その地図上に『中心の場所』『重要な場所』『行きたい場所』『行った場所』『思い出した場所』をそれぞれ配置してください。」このように呼びかけるワークショップを7日間行いました。結果、およそ60人の参加者による「見えない地図」が会議室の湾曲した壁面で重なり合う状況が出現しました。
一人で想像する「見えない地図」は、経験と記憶から導きだされた個人の肖像であるといえるでしょう。では、複数の参加者による「見えない地図」は、どのような記憶を私たちに見せてくれるのでしょうか。
壁面に書き込まれた場所の名前は、個人の経験や意識などが、他者との複雑な関係性を構築しながら配置されています。交錯した線は、ただ土地の名前を繋ぐだけではなく、記憶の風景を結びつけます。それは単なる「地図」を超えた多元的な風景を浮かび上がらせます。
複数人による「見えない地図」は、さまざまな記憶が同時多発的に変化する光景を私たちに見せているのかもしれません。
1989年神奈川県生まれ。2017年多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻修了、博士号(芸術)取得。
人々の場所に関する記憶から「都市の肖像」へと導くプロジェクトや作品制作を行っている。
黄金町レジデンス・アーティスト、Tokyo Midtown Award 2017 グランプリ受賞。近年の展示に、2016年個展「金子未弥展-都市の肖像を求めて-」(KOMAGOME1-14cas/東京)、2018年「Street Museum」(Tokyo Midtown Plaza B1, Metro Avenue/東京)などがある。
「ART IN THE OFFICE 」プログラムとは?
2012年には、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2012年度グッドデザイン賞」(Gマーク)を「展示会・見本市」のカテゴリーで受賞した「ART IN THE OFFICE」。過去の開催で審査員として参加したことをきっかけに、自社で公募プログラムやアートプロジェクトを発足した企業もあり、近年「ART IN THE OFFICE」の活動は広がりを見せています。
「ART IN THE OFFICE」についてもっと知りたい方、以下プレスリリース抜粋をご覧ください。また金子氏の作品を含む本年度プログラムの詳細、これまでの過去作品については、マネックス証券ウェブサイトからもチェック出来るそうです!
金子氏が ART IN THE OFFICE滞在制作中に、同時制作を行った小作品が展示された個展が、8月26日まで中目黒The Containerにて開催中です。
本プログラムは、マネックス証券の社員啓蒙活動として実施しております。プログラムへの応募条件にオフィスでの滞在制作を入れるなど、制作期間中のアーティストと社員との交流により社員がデザインや金融以外の分野に従事する方の考え方に触れ、啓発を受けること、ならびに現代アートの分野で活躍する新進アーティストの応援を目的として、NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト](以下「AIT」)の運営協力を得て、マネックス証券が企画・主催しています。公募により選出された1名(1組)のアーティストに対し、社内のプレスルーム(会議室)を応募作品の発表の場として約1年間提供します。選出されたアーティストには50万円の賞金および10万円の制作費が支払われます。
また、本プログラムによる作品は、マネックスグループ株式会社のアニュアルレポートなどへの掲載や、オリジナルノベルティのデザインに利用される予定です。
受賞者にはAIT 主催「現代アートの学校MAD2018」の一部を無料で受講できる機会が提供されます。
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