中日新聞に記事「美術品に適正な評価を 日本アート評価保存協会」が掲載されていました。
アートの評価、そして金額。
ここ数日美術品の高額落札のニュースが続けて話題を呼びました。
モディリアーニの裸婦像が約172億円(なんと史上4番目という高額!)で落札されたこと、続いて大富豪であるロックフェラー夫妻のコレクションからなる一連のオークションが終了しトータルで約907億円に達したことが報じられたことをご記憶の方も多いと思います。もはや私には実感のわかない金額で、そんなに作品が高騰するなら、経済的に苦しんだモディリアーニが生きている内に、ちょっとでもあげたかったなぁと、もやもやしてしまいました。
「ZOZOTOWN」でお馴染みのスタートトゥディ前澤友作社長が、2016年、2017年と2年連続でジャン=ミシェル・バスキアの作品を高額で落札し、2017年にいたってはアメリカ人作家としては競売史上最高額の約123億円であったことことから国内外で注目を集めました。
オークションで名画が出品、高額で落札されると、ニュースバリューがあるのでメディアは一斉に取り上げます。そうしたニュースの印象が先行して、美術品=高額、美術品を購入するのはお金持ちのすることと身構えてしまう人は多いのではないでしょうか(作品の中には自分のお財布と相談して購入できるものも実は結構あります)。
美術品の購入方法はいくつかありますが、例えばアーティストが所属しているギャラリーを介する場合、「プライマリー・プライス」と呼ばれる金額での購入となります。こちらはギャラリーが作品自体の完成度とともに、アーティストのキャリア、将来性を加味し、アーティストとギャラリーの取り分を加味した上で設定した金額となります。
「プライマリー・プライス」は、画廊の信頼性・影響力・企画力・販売力、あるいは作家のキャリア・将来性・作品の完成度などが価格決定の要因となってきます。
オークションのように一度世に出た作品を所有者が売る場合、「セカンダリー・プライス」という金額で落札、販売されることになります。この金額設定はアーティスト本人やそのキャリア(受賞歴や著名な美術館での展覧会実績があるかどうかの有無、作品がコレクションとして美術館に所蔵されているか等々も含む)に加え、オークションの場合、いままでの落札件数や落札価格等も踏まえてなされます。
ただ興味深いのは、そうした条件の掛け算、足し算がはじき出した数値は、資産や投資としてのアート作品を評価する指針の一つではありますが、必ずしも作品としてのすばらしさを表すものではないところ。価格=価値と考えがちですが、市場の条件が価格設定の背後にあるので、条件とともに値段は可変。必ずしも作品自体を評価する普遍的な基準ではないのです。
個人の嗜好が価格に反映されているわけではないので、なぜあの絵がそんなに高いのかわからないという現象が起きるのだと思います。
アートの価値は数値化出来ないので、アートを誰しも納得いく形で評価し、定式化するのは難しいですね。。。