<難民の日スペシャル>アートで戦い続ける難民

現王園セヴィン2017/06/20(火) - 21:10 に投稿
<難民の日スペシャル>アートで戦い続ける難民

6月20日は「世界難民の日」です。
この日、難民に対する理解を深めるイベントが、世界各国で開催されます。日本でも国連UNHCR協会関連のイベントをはじめ、難民に関する映画上映会などが毎年開催されます。
ARTLOGUEでも、日本であまり知られていない、難民になっても活動を続ける2名のアーティスト、オマール・イマム(Omar Imam)とアフマッド・ジュデ(Ahmad Joudeh)をご紹介します。


難民危機は人間危機  

難民をテーマにした作品を発表し続ける中国人アーティストで活動家のアイ・ウェイウェイ(Ai Weiwei)は、難民危機は難民ではない人々の危機でもあるとし、難民に関して考え、アクションを起こすよう呼びかけています。
どこかに紛争や情勢不安がある限り、自分の意思とは反して、暮らす場所を変えざるをえない人々がいます。現在最も深刻化している難民は、シリアから隣国に逃れている人々です。2011年から続くシリアの内戦、混乱のため、多くのシリア国民は近隣諸国に難民として逃れています。長引くシリアの情勢不安により、シリア難民が避難しているトルコ、レバノン、イラク、ヨルダン、エジプトをはじめとした近隣諸国では、失業や物資不足といった問題が生じています。
国連UNHCR協会は、難民と受け入れ国のニーズを調査し、的確な支援を実施しようとしています。
次のサイトSyria Regional Refugee Response」ではシリア周辺地域・難民・回復計画国連の(3RP)による難民に関する最新データを見ることができます3RPプログラムの発表によると505万7千986名のシリア難民が難民キャンプなどで暮らしています

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統計ではなく一人一人の姿を映し出す

難民を表す数字から全体図を把握することはできます。しかしこの数字の裏にいる一人一人のストーリーは伝わってきません。
現在アムステルダムで暮らすシリア難民のオマール・イマムは、シリアから難民キャンプに逃れてきた人々のストーリーを写真に収めることで、「シリア難民」という集合体ではない姿を発信しています。

“シリア人に対するイメージが死と破壊になっている。私はアーティストとして、こうしたイメージから脱去すべく、シリアの人々が困難を乗り越えようと前向きに努力している姿を写すことにした”

オマールの作品は、難民キャンプで暮す人々が置かれた状況のみならず、彼らの緊迫した精神状態までも表しています。

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食べれるものは雑草しかありませんでした雑草は喉を通りませんしかし子供達に雑草を食べ物として受け入れてもらうために私は無理矢理飲み込みましたOmar Imam, Live, Love, Refugee series- Untitled, 2015 © Omar Imam.

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私の妻は目が見えません・・・私は彼女が楽しみにしているテレビドラマのストーリーを話してあげますが時々彼女がより楽しめるようにストーリーを少し変えて伝えますOmar Imam, Live, Love, Refugee series- Untitled, 2015 © Omar Imam.

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時々お医者さんではなく自動車整備士と話しているように感じることがあります私たちは難民は機械ではありません人間ですOmar Imam, Live, Love, Refugee series- Untitled, 2015 © Omar Imam.

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レバノンでは私たちの居場所はとても狭かったです狭さに慣れてしまったので広い空間にいると不安を感じますOmar Imam, Live, Love, Refugee series- Untitled, 2015 © Omar Imam.

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シリアでの思い出は日々私から離れて行く私はこの空白を恐れているOmar Imam, Live, Love, Refugee series- Untitled, 2015 © Omar Imam.

オマール・イマム (Omar Imam):http://www.omarimam.com



シリアで踊り続けるダンサー

紛争が絶えないシリアの首都ダマスカス出身のダンサー、アフマッド・ジュデは、同年代の人たちが国の平和を求めて銃を手に戦うなか、踊り続けています。
このような状況で、どうして踊るのか?なぜ銃を手に戦わないのか?
彼は、自分自身の方法で戦っているのです。

“ 彼は踊り続ける事で、私たちの文化や芸術を否定し禁止する人々と戦っているのです”

命がけで踊り続ける息子の側で、パルミラ出身の母親はこうつぶやきました。

2015年5月、ISはパルミラの世界遺産と街を破壊しました。
アフマッドが初めて舞台に立ったのが、破壊される前のパルミラ遺跡円形劇場。
パルミラ遺跡円形劇場は、ISがシリア政府軍を処刑した場所でもあります。
彼は、静かに、破壊されたパルミラで、再び踊ります。




アフマッド・ジュデ (Ahmad Joudeh)https://www.danceforpeace.nl


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