2017年はアートのビッグイヤー!!・・・でもヴェネチア・ビエンナーレって実は何?

ARTLOGUE 編集部2017/06/04(日) - 17:59 に投稿
2017年はアートのビッグイヤー!!・・・でもヴェネチア・ビエンナーレって実は何?

2017年はアート好きにとっては見逃せないスペシャルイヤー!!! 「ドクメンタ 14」、「ヴェネチア・ビエンナーレ」、「ミュンスター彫刻プロジェクト」を一挙にみることが出来るのですから。こんなタイミングは10年に一度。これを逃せば次の同時開催まで10年待たなければいけません。

とはいえ「ヴェネチア・ビエンナーレ」はまだしも、「ドクメンタ」、「ミュンスター彫刻プロジェクト」は何ぞや?という方も多いのではないでしょうか。まずはそれぞれのイベントについて簡単に紹介したいと思います。

ドクメンタ

1955年、ドイツのヘッセン州にある古都カッセルで始まった現代アートの国際展。その規模や内容から、ヴェネチア・ビエンナーレ同様、現代アートの動向を知る上での指針として注目されています。但しヴェネチア・ビエンナーレが2年毎の開催なのに比べ、こちらは5年に一度の開催、また国別参加方式を採らない点(毎回一人のディレクターがテーマの設定、作家の選出までを担います)、授賞制度を設けない点がヴェネチア・ビエンナーレとは異なります。
第14回目となる今回アーティスティックディレクターを務めるのはクンストハレ・バーゼルのディレクター兼チーフキュレーターのアダム・シムチックAdam Szymczyk難民問題や経済問題等ヨーロッパが抱える政治的社会的な問題を考える上でアテネに注目しアテネから学ぶ - Learning from Athens -のテーマの下アテネカッセルの二都市で開催します期間中美術館のみならず図書館や映画館学校公園といった様々な公共施設を含む会場で展覧会やパフォーマンスを楽しむことができます  

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Beau Dick, Twenty-two masks from the series ”Atlakim”, 1990–2012, various materials, installation view, EMST—National Museum of Contemporary Art, Athens, documenta 14, photo: Mathias Völzke

 

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Joar Nango, European Everything, 2017, installation view, Athens Conservatoire (Odeion), documenta 14, photo: Mathias Völzke

ヴェネチア・ビエンナーレ  

イタリアのヴェネチアで、1895年から開催されている現代アートの国際美術展覧会。最初の美術展開催から約120年を経て、現在は美術のみならず、建築展、音楽祭、映画祭、演劇祭と複数の部門を包括するフェスティバルとなっています。そのなかでも注目したいのは、やはり美術展。一人のキュレーターが一つのテーマ、プランに沿って展示する企画展、万国博覧会やオリンピックのように国単位で出展し、パビリオンをかまえる国別参加部門、コラテラル・イベントと呼ばれる同時開催の関連企画等で構成され、美術界の最新の動向が俯瞰出来るようになっています。
第57回となる今回は、ポンピドゥー・センターのチーフキュレーター、クリスティーヌ・マセル(Christine Macel)をディレクターに迎え、「Viva Arte Viva」(アート万歳)をテーマに彼女がキュレーションする企画展が開かれます。こちらには日本の島袋道浩、菅木志雄、田中巧起、松谷武判も出品しています。また国別参加部門には、86カ国が参加しており、日本のパビリオンでは、金沢21世紀美術館のキュレーター鷲田めるろをキュレーターに、アーティスト岩崎貴宏による「逆さにすれば、森」展が開催されています。 

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メイン会場の一つ、アルセナーレ入り口 photo:加須屋明子

 

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岩崎貴宏《逆さにすれば、森》 photo:加須屋明子

 
ちなみにARTLOGUEが宮城の酒蔵「新澤醸造店」と進めるプロジェクトNIIZAWA Prize by ARTLOGUEhttp://www.niizawa-sake.jp/ 最高級日本酒「NIIZAWA KIZASHI 2016」のラベルに用いているのが岩崎さんの作品《リフレクション・モデル》です

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ミュンスター彫刻プロジェクト 

ドイツ北西部の都市、ミュンスターで10年に一度、夏の時期に開催される彫刻展。イギリスのアーティスト、ヘンリー・ムーアからの野外作品寄贈をミュンスター市が拒んだことを発端に、公共空間とアートの関係性を巡る議論を経て、1977年の第1回「ミュンスター彫刻プロジェクト」は行われました。今年で5回目を数えるこのプロジェクトでは、こうした背景から、参加アーティストが事前にミュンスターに滞在し、地域や住民とのディスカッション、リサーチを重ねて制作を行うというプロセスが重視されています。同じアーティストが複数回にわたって招聘されプロジェクトを展開することがあるのも、「ミュンスター彫刻プロジェクト」ならではの特徴といえます。
今回は第1回目の開催より関わっているカスパー・ケーニヒ(Kasper König)がアーティスティックディレクターとなり、彫刻作品に加えパフォーマンス、デジタルメディア35組のアーティストの作品が展示されます。日本からは荒川医、田中巧起の出展が決まっており、6月9日には彼らを含む招聘アーティストの作品の詳細が公式ウェブサイトでも公開されるとのこと。
なお、これまでの展示作品の内、36点以上が市に購入され常設展示となっており、ミュンスターの中心部や郊外、いたるところに点在するそれらを辿ることで、彫刻という表現や、社会におけるアートの変遷を、その佇まいから体感することが出来ます。

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1997年開催時のイリヤ・カバコフ(Ilya Kabakov)作品《"Blickst du hinauf und liest die Worte...",》。
Looking up. Reading the Words from Ilya Kabakov, Münster, Germany, photo: Florian Adler

 

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2007年開催時のジルケ・ヴァークナー(Silke Wagner)作品《Münsters Geschichte von unten》。
The Sculpture "Münsters Geschichte von unten" by Silke Wagner. Iduna-Building by Friedrich Wilhelm Kraemer. photo: Elektroschreiber


「ヴェネチア・ビエンナーレ」、「ドクメンタ 14」、「ミュンスター彫刻プロジェクト」と、個性的な3つの国際展覧会。それぞれ異なる、手法、目的、スタンスに基づき、「現在(いま)」の時代を映すアートをどのように切り取るのか、見比べるチャンス。
タイミング(と懐具合・・・)と相談ではありますが、頭と心を刺激してくれる絶好の機会をどうかお見逃しなく!!

・ドクメンタ14
全体会期: 2017年4月8日(土)~9月17日(土)
会 期(アテネ): 2017年4月8日(土)~7月16日(土)
会 期(カッセル): 2017年6月10日(土)~9月17日(日)
URL: http://d14.documenta.de/

・第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
会期:2017年5月13日(土)~11月26日(日)
URL: http://www.labiennale.org/

・ミュンスター彫刻プロジェクト2017
会期:2017年6月10日(土)~10月1日(日)
URL: https://www.skulptur-projekte.de/ 

関連ニュース!! 

アートのビッグイヤーに向けて、ヨーロッパへの渡航を計画している人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ARTLOGUEでは、情報共有も兼ねた報告会を開催します。
京都市立芸術大学の加須屋明子教授をゲストに、ヴェネチア・ビエンナーレとドクメンタ14(アテネ)等の見どころをお話し頂くカジュアルな会となっております。ドリンク片手に是非ご参加ください。

カフェスペシャル&アートカフェ
ヴェネチア・ビエンナーレ 他、欧州芸術祭報告会
日 時:2017年 7月 8日 (土)  19:00~21:00
定 員:30名程度(参加費1,000円 ドリンク、スナック付き) 
要事前予約:http://peatix.com/event/271766
ゲスト:加須屋明子(京都市立芸術大学教授) 他
カフェマスター:鈴木大輔(ARTLOGUE CEO)、木ノ下智恵子(大阪大学21世紀懐徳堂 准教授)
会 場:アートエリアB1 (京阪電車中之島線 「なにわ橋駅」地下1階コンコース)
主 催:ARTLOGUE、アートエリアB1

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