みなさん、お腹はへっていますか?
僕はへっています。
美術館に展覧会を観に行っても、お腹が空いていては集中して鑑賞もままならないですよね。
みなさんも、展覧会に出かける時に周辺の飲食店を調べて足を運んだこともあるのではないでしょうか。
かく言う僕も、CURATORS TVの取材時に全国47都道府県を行脚していたのですが、行く前には必ず郷土料理や飲食店のリサーチをしていました。
せっかく出かけるのだから、出来れば美味しいものを食べたいのが人の心です。
そこで、グルメなアート業界人なら美味しいお店を知っているはずだということで、全国で行われている注目の展覧会の関係者に、周辺で食べられるオススメのランチを紹介して頂きました。
これを見てアートなお出かけをより一層充実したものにしてください。
おしながき
金氏徹平のメルカトル・メンブレン
オススメ人:金氏徹平さん(美術家)
1945年±5年 戦争と復興:激動の時代に美術家は何を描いたのか
オススメ人:洲濱元子さん(広島市現代美術館学芸員)
トーマス・ルフ展
オススメ人:増田玲さん(東京国立近代美術館主任研究員)
六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016
オススメ人:野田英明さん(六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016 総合プロデューサー)
東アジア文化都市2016奈良市
オススメ人:大西哲也さん(「東アジア文化都市2016奈良市」実行委員会事務局 食部門担当)
金氏徹平のメルカトル・メンブレン
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
会期:2016年7月17日(日)~11月6日(日)
オフィシャルサイト
◯ 展覧会の見どころ
身のまわりの事物を素材に、部分を切り抜き、繋ぎ合わせることで、既存の文脈を読み替えるコラージュ的手法を用いて作品を制作しています。国内では7年ぶりの大規模な個展となる本展では、展示空間を活かした大型インスタレーションを含む新作を中心に構成するとともに、コラージュのメカニズムの延長として「他者」との接続から制作の方法論を探り、あたらしい彫刻のあり方をこころみます。毎月のイベントごとに変化を続ける展示、展覧会に付随する形式から逸脱したカタログ、金氏自身がデザインを手掛ける広報物、さらには小説家、デザイナー、音楽家、俳優、観客たちと役割を交換しながらつくり上げるプロセスを含んだ全体が、相互に影響を与え合いながら展覧会を運動させていきます。本展は、金氏徹平の個展の「個」の中に含まれている複数の「他者」との切断と集積をとおして、その創造活動の現在進行形とさらなる展望を見出します。
オススメ ランチ
オススメ人:金氏徹平さん(美術家)
店名:つづみ
メニュー:とり天ぶっかけ
お店の情報
◯ オススメポイント
美味しい手打ちのうどん屋さんです。丸亀城と美術館の間くらいにあります。味噌をつけて食べるおでんもおすすめです。壁には僕の作品が恒久展示されています。うどんをイメージして作った作品です。お店の方は僕のデザインした丸亀Tシャツを着てうどんを打っています。丸亀城の天守閣にも作品が展示してあります。
1945年±5年 戦争と復興:激動の時代に美術家は何を描いたのか
会場:広島市現代美術館
会期:2016年7月30日(土)~10月10日(月・祝)
オフィシャルサイト
◯ 展覧会の見どころ
「1945年±5年」展は、1945(昭和20)年を境にして、その前後それぞれ5年間の日本の美術をとりあげる展覧会です。その前半は1937(昭和12)年から始まる日中戦争、1941(昭和16)年からのアジア・太平洋戦争の時代、後半は日本が敗戦を迎え、連合国によって占領統治された時代にあたります。日本近代史上、最も激動の時代といえるでしょう。その過酷な時代に美術家はどのような表現を行い、社会とどのような関係を築いたのでしょうか。
戦争が軍事力だけではなく、国のあらゆる力を総動員して行われる総力戦となったこの時代、美術の活動は厳しく統制され、戦争遂行に協力することが求められました。画家たちは戦争画や、銃後の人々を顕彰する絵などを制作したのです。しかしながら、戦争画の中にはそれだけに終わらない要素もあり、また個々の美術家の営みは戦争協力に限られるわけでもありません。時代の巨大な渦に巻き込まれながらも、美術家たちは多様な動きを見せました。本展覧会は、こうした動きを油彩画を主とする200点近い作品によって紹介するものです。
オススメ ランチ
オススメ人:洲濱元子さん(広島市現代美術館学芸員)
店名:蕎麦 髙田
メニュー:ざるそば お昼セット
お店の情報
◯ オススメポイント
当館が位置する比治山の麓で、ご夫婦らしきさわやかなお二人が営む人気のお蕎麦やさん。お蕎麦もさることながら、お昼セットでつく季節ごはんやお漬物も、やさしい味でとても美味しいです。
トーマス・ルフ展
会場:東京国立近代美術館
会期:2016年8月30日(火)~11月13日(日)
オフィシャルサイト
◯ 展覧会の見どころ
トーマス・ルフ(1958年ドイツ、ツェル・アム・ハルマースバッハ生まれ)は、アンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートらとともにデュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」として、1990年代以降、現代の写真表現をリードし続ける存在です。今回、日本で初めての大規模展覧会が、東京国立近代美術館で開催されています。
展覧会は、80年代にルフが注目されるきっかけとなった、高さ約2メートルにもなる巨大なポートレート作品から始まります。ルフは室内、建築、都市風景の作品を経て、2000年以降は、もはや自身でシャッターを切ることなく、古写真や衛星写真、インターネット上のデジタル画像など、さまざまなテーマや素材を扱って、ひとりの作家とは思えないほど多様なシリーズを展開しています。作家自身が作品選定や展示構成に参加し、世界初公開の最新作を含む18シリーズ、122点を一堂に展示。「写真とは何か」をあらためて考えさせられる展覧会です。11月13日(日)まで。
オススメ ランチ
オススメ人:増田玲さん(東京国立近代美術館主任研究員)
店名:レストラン ラタン(学士会館)
メニュー:「日替わりビジネスコース」(火~金)または「日替わりラタンコース」(火~日)
お店の情報
◯ オススメポイント
学士会館は美術館から歩いて7~8分。1928年竣工の建物は、よくドラマや映画のロケ(たとえばあの「倍返し」のドラマなど)に使われることでも知られています。
ふだんお昼は買ってきたお弁当などですませることがほとんどですが、たまに来客があったときなど、お連れすることがあります。天井の高いクラシックな空間は高級感がありますが、平日ランチならお手頃です。食後は神保町の古書店めぐりもお薦めです。
六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016
会場:六甲山上
会期:2016年9月14日(水)~11月23日(水・祝)
オフィシャルサイト
◯ 展覧会の見どころ
六甲ケーブル下駅でお客様を出迎えるのは、三沢厚彦さんの絵画作品「クマのペインティング 2016-04」と「クマのペインティング 2016-05」です。2編成のケーブルカーの中にも白と茶のクマのブロンズ作品があり、通常は展示台に鎮座して動くことのない彫刻がここではケーブルカーに乗って行き交っているのです。
六甲山カンツリーハウスには、さわひらきさんの「Locker room」が展示されています。複数の映像、彫刻、絵画などを組み合わせた大規模なインスタレーションで、引き込まれるような美しい表現が魅力です。展示場所は冬期の六甲山スノーパーク営業中は、来場者向けのロッカールームとして使用しており、インスタレーションにもロッカーが使われ、不思議な空間を作り出しています。
六甲オルゴールミュージアムから六甲高山植物園に続く木道橋には、公募大賞グランプリを受賞した川田知志さんの「六甲高山森林内壁画」が展示されています。作者はグラフィティに興味を持った後にフレスコ画を学び、伝統的な手法を踏襲しつつ新しい表現の可能性を追求しています。長い滞在制作のなかで、この場所の自然と対話するかのように作品を作り上げました。
オススメ ランチ
オススメ人:野田英明さん(六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016 総合プロデューサー)
店名:TENRAN CAFE
メニュー:きのこたっぷりソースの和風ハンバーグ
お店の情報
◯ オススメポイント
六甲シャンピニオン(フレッシュマッシュルーム)やシメジなどを使った和風ソースのハンバーグ。
六甲山の北に位置する栽培ファームで新鮮な水を使用して栽培されたフレッシュマッシュルーム「六甲シャンピニオン」とシメジをふんだんに使用した風味ゆたかな和風ソースと肉汁たっぷりのハンバーグの相性が抜群です。あたたかいかぼちゃのスープもセットになっているので、芸術散歩の腹ごしらえにはぴったりです。
東アジア文化都市2016奈良市「古都祝奈良(ことほぐなら)― 時空を超えたアートの祭典」
会場:奈良市
会期:2016年9月3日(土)~10月23日(日)
オフィシャルサイト
◯ 展覧会の見どころ
日本、中国、韓国の3か国で、文化による発展をめざす都市を各国1都市選定し、各都市が行うさまざまな文化プログラムを通して交流を深める国家プロジェクト「東アジア文化都市」。今年の日本の開催都市に選ばれている奈良市で開催中の「東アジア文化都市2016奈良市」、そのコア期間プログラム「古都祝奈良(ことほぐなら)― 時空を超えたアートの祭典」。
奈良時代の都の中心地である平城宮跡での野外舞台公演のほか、「八社寺アートプロジェクト」では東大寺、春日大社、興福寺、元興寺、大安寺、薬師寺、唐招提寺、西大寺を会場に、日本の文化の伝播をもたらした国々出身で世界の第一線で活躍する作家がアートインスタレーションを展開、歴史ある社寺で最新の現代アートを楽しむことができます。
また、江戸後期からの伝統的なまちなみが残る「ならまち」を舞台に、地域の伝承や歴史など、土地の魅力を掘り起こしたアートを鑑賞しながらまちなかを散策できる「ならまちアートプロジェクト」も。
「舞台芸術」、「美術」、「食」の3つの部門を中心に様々なプログラムを展開し、アートを通して、往時から伝わる奈良の都の骨格を現代に浮かび上がらせます。
オススメ ランチ
オススメ人:大西哲也さん(「東アジア文化都市2016奈良市」実行委員会事務局 食部門担当)
店名:『Nara Food Caravan Project』Pop up Restaurant(ポップアップレストラン)
メニュー:大和ポークリブの香味焼き、大和当帰のさつま揚げ串焼き
お店の情報
◯ オススメポイント
大和ポークリブの香味焼きは、奈良が誇る大和ポークをマリネし、直火でこんがり香ばしく焼き上げます!シルクロード由来のスパイスが効いており、ビールが進みます!
大和当帰のさつま揚げ串焼きは、明日香村でとれた奈良のハーブ『大和当帰』とタラ・イトヨリのすり身を練りこみ串焼きにしました。もっちりとした食感がたまりません!
ほかにもモンゴルの馬乳酒をイメージした『モンゴルサワー』や、カルピスソーダにカルダモンを振りかけた『カルカルソーダ』など、ここでしか味わえないメニューを揃えています。
以上、注目の展覧会とオススメ ランチ 5選でした。
秋は「芸術の秋」とも「食欲の秋」ともいう欲張りな季節です。
どうせなら、欲には忠実にアートも食も一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
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