陽気でユーモア溢れるポスターを制作、
レイモン・サヴィニャックの展覧会が開催
フランスを代表するポスター作家であるレイモン・サヴィニャック(1907-2002)。サーカスや見世物のアートに魅せられ確立したサヴィニャックのスタイルは、第二次世界大戦後、それまでのフランスにおけるポスターの伝統であった装飾的な様式を一新します。
サヴィニャックの編み出したポスター様式はユーモアとエスプリのアート、瞬時に人の心を射抜くアートでした。インパクトを与える視覚的操作と明快な造形という確固たる論理を持つ彼のデザインをベースに、このうえなく陽気にシンプルに、ポスターのメッセージを道行く人々へと届けたのです。知性豊かなクリエイターであったサヴィニャックの描くデッサンは常に、「どのようにメッセージを届けるか」という問いに対する、視覚的な解答でした。ビック、チンザノ、シトロエン、ダンロップ、ミシュラン、モンサヴォン、ティファール、トレカ、パリ市ほか、フランスの錚々たる広告主のビジュアル広告は、レイモン・サヴィニャックのポスターなしには語ることができないでしょう。
国内5美術館を巡回するかつてない大規模展となる本展覧会では、サヴィニャックの20 世紀ポスター史を語るのに欠かせない代表作を中心に、それらのスケッチ、原画、パリに貼られたサヴィニャックポスターの景観写真などあわせて約200 点を紹介します。ポスターとは近代都市のモニュメントであり、街角に掲出するという習慣とは切り離して考えることはできないからです。
20 世紀フランスという時代と場所の空気を切り取ってきた写真を通して、今日「屋外広告」とよばれる広告芸術が、道行く人々の心を癒し心躍らせ、時に批判され、街の中でどのような効果を発揮していたかに思いを馳せながら、ポスターというメディアを魔術師のように操ったサヴィニャックの世界をご堪能ください。
【見どころ】
日本でも人気の高いサヴィニャックですが、本展は日本初公開作品も含むポスター95 点あまりをはじめ、制作過程が垣間見えるスケッチや原画、ポスターが実際に街中に貼られた様子を窺うことのできる写真等により構成されます。
牛乳石鹸モンサヴォンのポスターで真のポスター作家となったサヴィニャックの創作を、時系列に追うのではなく、イコノグラフィや、グラフィックの手法や考え方、同じ製品を扱ったものなど、共通する項目によってグループを作り、その魅力の源に迫ります。今や実際に目にする機会のなくなった3メートル、4メートルにもおよぶ大型ポスターも必見です。
【展覧会情報】
○日時:2018 年2月22 日(木) ― 4月15 日(日)10:00~18:00
※入館は午後5時30分まで
○会場:練馬区立美術館
○会期:201 8年2月 22 日(木)~4月 15 日(日)
○休館:月曜日
○料金:一般 800 円、高・大学生および 65 ~74 歳 600 円
中学生以下および 75 歳以上無料
その 他各種割引制度あり
※一般以外の方は、年齢等確認できるものをお持ちくださ い