至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

ARTLOGUE 編集部2018/02/06(火) - 23:49 に投稿
ピエール=オーギュスト・ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》1880年
油彩、カンヴァス65×54cm ©Foundation E.G. Bührle Collection,Zurich (Switzerland)Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

 

ドイツに生まれ、スイスに移住したエミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956)は、戦前から戦後にかけて実業家として富を築く一方、生涯を通じて美術品の収集に情熱を注ぎました。ビュールレは1937年にスイス国籍を得て、一家とともに移り住んだチューリヒの邸宅を飾るため、美術品の購入をはじめます。時にはレンブラントやファン・ゴッホの贋作を購入してしまうなどの失敗もありながら、信頼のおける画商たちとの出会いを経て、自身のコレクションを増やしていきました。やがてビュールレ・コレクションは、フランスの印象派とポスト印象派を中心に、それらの作品への理解を深めるものとして17世紀のオランダ派やヴェネツィア派の絵画やゴシック式彫刻などの古典作品から、ナビ派、フォーヴィスム、キュビスム、1900年以降のフランス前衛絵画までを揃え、世界を代表するプライベート・コレクションの一つとなりました。
名作揃いのビュールレ・コレクションですが、これまでヨーロッパ以外へ所蔵品がまとまって貸し出されたことはほとんどなく、日本で紹介されたのは、ビュールレ氏の生誕100年を記念し、1990年から1991年にワシントン、モントリオール、横浜、ロンドンで開催された世界巡回展の1 回限りでした。これまでは、ビュールレが作品を保管していた邸宅の別棟を改装した美術館で、この優れたコレクションを鑑賞することができましたが、その美術館は2015年に閉館され、今回27年ぶりに日本でコレクション展が実現することになりました。2020年にビュールレ・コレクションの所蔵作品は一括して、チューリヒ美術館に管理が移ることが決まっており、今回の展覧会は日本でコレクションの全貌を見ることができる最後の貴重な機会となります。印象派の作品を中心に約60点の名作が揃った「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」をご堪能ください。

 

国立新美術館で「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」モネやルノワール名作約60点、初公開作品も

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「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」が、2018年2月14日(水)から5月7日(月)まで国立新美術館にて行われる。実業家エミール・ゲオルク・ビュールレが収集した約60点の名作が、印象派の作品を中心に集結する。日本でまとまってビュールレ・コレクションの展示を行うのは27年ぶりの2回目となる。

 

■印象派からフランス前衛絵画まで勢揃い

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ビュールレは、生涯を通じて美術品の収集を行い、フランスの印象派とポスト印象派を中心に、自身のコレクションを増やしていった。また、それらの作品への理解を深めるものとして17世紀のオランダ絵画やヴェネツィア派の絵画やゴシック式彫刻などの古典作品から、ナビ派、フォーヴィスム、キュビスム、1900年以降のフランス前衛絵画まで幅広く揃え、世界を代表するプライベート・コレクションの一つとなった。

■世界中が注目する印象派コレクション

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随一の印象派コレクションは大きな見所となっている。ビュールレ・コレクションの中でも、印象派・ポスト印象派の作品は特に質が高く、世界中の美術ファンから注目される作品たちだ。ウジェーヌ・ドラクロワ、エドガー・ドガ、エドゥアール・マネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・ゴーギャン、クロード・モネ、ポール・セザンヌ、アンリ・マティス、パブロ・ピカソなど豪華な作家の作品が一堂に会する。中でも、ルノワールが8歳のあどけない少女を描いた《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》と、セザンヌが描いたアンニュイな表情が特徴的な《赤いチョッキの少年》は、両作家の最高傑作として知られる、見応えのある作品だ。

■日本初公開作品の数々

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今回展示を行う約60点の作品の内、その半数が日本初公開の作品というところも見所の一つとなっている。特に、門外不出と言われたモネの《睡蓮の池、緑の反映》は高さ2メートル×幅4メートルの大作。睡蓮や池が映し出す複雑な色彩の変化をとらえた「睡蓮」シリーズの日本初公開作品であり、必見の一作だ。
その他、カミーユ・ピサロが雪道の穏やかな風景を描いた《ルーヴシエンヌの雪道》や、アルフレッド・シスレーが夏場のボート競技を生き生きと描いた《ハンプトン・コートのレガッタ》、軽やかなタッチと明るい色彩が目を引くエドゥアール・マネの《ベルヴの庭の隅》など、数々の印象派作品が日本初公開となる。

■作品達が物語るセザンヌ、ファン・ゴッホの作風の変遷

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ビュールレ・コレクションの中で、セザンヌとファン・ゴッホのコレクションは大変充実している。それぞれ6点ずつ出展される作品は、セザンヌとファン・ゴッホの作風の変遷を明らかにし、画家としての軌跡を辿ることのできるラインナップだ。セザンヌの描いた最大サイズの自画像である《パレットを持つ自画像》は、最盛期に描かれた作品。堂々としたオーラを放つ佇まいに、セザンヌ自身の画家としての自負を感じられる。ファン・ゴッホ《花咲くマロニエの枝》は、そのしっかりとしたタッチやはっきりと明るい色彩から、ファン・ゴッホが新印象主義の手法を取り入れ独自に発展させたことがうかがえる。多様な様式で作品を残したファン・ゴッホの柔軟な創造性を見て取ることができる。

■コレクション全貌を見るラストチャンス

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ビュールレ・コレクションがスイス国外に持ち出されて公開されたのは過去に数回のみ、また一般公開が規制されていたことからも、今回の日本での公開は大変貴重な機会だ。また、2020年にはビュールレが生涯を通じ財政的支援を続けてきたチューリヒ美術館に全てのコレクションが移管されることが決まっているため、今回の展覧会がビュールレ・コレクションの全貌を見ることのできる最後のチャンスとなる。

 

■概要

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会 期:2018年2月14日(水)~5月7日(月)
会 場:国立新美術館 企画展示室 1E
時 間:10:00~18:00
   ※毎週金曜日、土曜日、4月28日(土)~5月6日(日)は20:00まで、入場は閉館30分前まで
休 館:毎週火曜日(ただし5月1日(火)は除く)
料 金:一般1,600円(1,400円)、大学生1,200円(1,000円)、高校生800円(600円)
    ※()内は団体、前売り料金。団体は20名以上
    ※中学生以下無料
    ※障害者手帳持参者(付添い1名含む)無料
    ※2月14日(水)~2月28日(水)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)
巡回先:福岡 九州国立博物館 2018年5月19日(土)~7月16日(月・祝)
    名古屋 名古屋市美術館 2018年7月28日(土)~9月24日(月・祝)

 

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