ディアスポラ・ナウ! ~故郷(ワタン) をめぐる現代美術

ARTLOGUE 編集部2017/12/05(火) - 13:01 に投稿

あなたは「ディアスポラ」を知っていますか。 「故郷」に戻れずに生きる人々の思いについて、感じ考えたことはありますか。 作品に込められたメッセージを感じとることができたとき、あなたの胸に「故郷」を追われ た人々の思いが迫り、あなたの生き方を問う作品たちを前にしたとき 「ディアスポラ」は他人事ではなくなるでしょう。 紛争や災害などに巻き込まれ、故郷を追われて戻れずにいる人々。 彼らに寄り添い、奪われた故郷と世界に向けてメッセージを発信しつづける 現代美術のアーティストたちの作品を紹介します。

 

展覧会について

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古代ギリシャ語に由来する「ディアスポラ」という言葉は、種など「まき散らされたもの」を意味し、離れた地で芽吹きをもたらすことを含んでいましたが、第二次世界大戦で、ユダヤ人の「民族離散」の歴史を表現するようになりました。岐阜県においても、郷土出身の杉原(すぎはら)千畝(ちうね)が、ナチスの迫害から逃れる人々に、リトアニアのカウナス領事館でビザを発給し、およそ 6000 の命を救ったことが思い起こされます。
現在に目を移せば、中東情勢は泥沼化し、世界各地で大規模な天災がおこっています。紛争や災害によって、避難民は故郷を追われ、離散し、それぞれの地に移り住みながらも、故郷への帰属意識を持ち続けています。
ディアスポラの問題は、国家の枠組みを超えて、故郷(アラビア語で「ワタン」)を問い直すことへとつながります。彼らは、生まれた土地で、自らの存在を認めてもらえず、どこか喪失感を抱いています。すでに看過できない状況下で、アートは、世界の視線を彼らに引き寄せることができているでしょうか。アーティストの中には、グローバル化したアート環境の中、新たな地で自らの表現をつづける人たちもいます。彼らにとって作品は、自らが置かれた立場の表明であり、それはまた現代を映す鏡にもなっているのです。


出品作家紹介

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ムニール・ファトゥミ(mounir fatmi,モロッコ,1970 生)
現在パリ在住。映像、インスタレーション、絵画、彫刻などマルチメディア作家。歴史、宗教、イデオロギーなどアラブ世界からの現代的なテーマを扱う。2016 年瀬戸内芸術祭に参加。本展では旧作と新作のインスタレーションを出展。
ラリッサ・サンスール(Larissa Sansour,パレスチナ,1973 生)
近年、ビデオ、写真、彫刻を使ったインスタレーションを多く発表。イスタンブール、釜山、リバプールなどのビエンナーレに参加。
■ アクラム・アル=ハラビ(Akram Al Halabi,シリア,1981 生)
シリアで絵画の専門教育を受けた後、2007 年からウイーン美術アカデミーで学ぶ。数多くの国際的なグループ展、映像祭に参加。出展作《チーク》はシリアから届いた、民衆とその物語のイメージを編集した映像作品。
ランダ・マッダ(Randa Maddah,シリア,1983 生)
■ミルナ・バーミア(Mirna Bamieh,パレスチナ,1983 生)
■キュンチョメ(KYUN-CHOME,日本,2011 年結成)
ホンマエリ(1987 生)とナブチ(1984 生)による男女のアートユニット。

 

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