Column/ 惑生探査記:シャッター音の周辺
荒木経惟のモデルをしていたKaoRiさんが、これまでの仕事に関して黙していたことをブログに投稿し、様々な反響を呼んだ。
彼女は16年間ミューズとして度々写真に登場していたけれど、これまで彼女が主な被写体となったものの出版に関しては事前の相談もなく、名前やイメージが勝手に使用され、一人歩きする状態だったという。さらに虚実入り交じったアラーキーの言動はふたりの関係への憶測や誤解を生み、私生活に支障を来たしていた。環境の改善を訴えてもまともに対応されず、名の通ったアーティストのふるまいに都合良く扱われるままだった経緯が冷静な目をもって綴られている。
一方的で不均衡な関係性のまま「KaoRi」からイメージのみが搾取され、モデルは言われるがまま芸術に奉仕する姿勢でなんでもやって当然の麻痺状態にあった。そこに彼女をミューズと認める目があったとしても、創作に関わるパートナーとしてのまっとうな意味でのリスペクトはなく、思うがままに扱われる主従関係が長きに渡り成り立ってしまっていた。KaoRiさんは若さや無知もあったと振り返っているけれど、内容を読む限りアラーキーを擁護する余地はなかった。
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