高畑勲展 ― 日本のアニメーションに遺したもの

ARTLOGUE 編集部2019/03/05(火) - 02:32 に投稿

初の長編演出(監督)となった「太陽の王子ホルスの大冒険」(1968年)で、悪魔と闘う人々の団結という困難な主題に挑戦した高畑は、その後次々にアニメーションにおける新しい表現を開拓していきました。 70年代には、「アルプスの少女ハイジ」(1974年)、「赤毛のアン」(1979年)などのTV名作シリーズで、日常生活を丹念に描き出す手法を通して、冒険ファンタジーとは異なる豊かな人間ドラマの形を完成させます。 80年代に入ると舞台を日本に移して、「じゃりン子チエ」(1981年)、「セ口弾きのゴーシュ」(1982年)、「火垂るの墓」(1988年)など、日本の風土や庶民生活のリアリティーを表現するとともに、日本人の戦中・戦後の歴史を再考するようなスケールの大きな作品を制作。遺作となった「かぐや姫の物語」(2013年)ではデジタル技術を駆使して手描きの線を生かした水彩画風の描法に挑み、従来のセル様式とは一線を画した表現上の革新を達成しました。 このように常に今日的なテーマを模案し、それにふさわしい新しい表現方法を徹底して追求した革新者・高畑の創造の軌跡は、戦後の日本のアニメーションの礎を築くとともに、他の制作者にも大きな影響を与えました。 本展覧会では、絵を描かない高畑の「演出」というポイントに注目し、多数の未公開資料も紹介しながら、その多面的な作品世界の秘密に迫ります。

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「高畑勲展 ― 日本のアニメーションに遺したもの」東京国立近代美術館
展覧会ジャンル
展覧会
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