原爆の図丸木美術館

広河隆一写真展「戦場の子どもたち」<br>翻弄される命を見つめた 50 年の記録<br>パレスチナ、イラク、アフガニスタン、コンゴ、チェルノブイリ、福島

ARTLOGUE 編集部2018/11/08(木) - 18:53 に投稿

丸木美術館では、広河隆一写真展「戦場の子どもたち」が開催中です。1967年に中東の取材を始めて以来、2017年で50年を迎えたフォトジャーナリスト広河隆一の活動の軌跡をたどる写真展。彼は、人間の生存と尊厳が脅かされている場所を「人間の戦場」と呼び、そうした場所で生きる子どもたちの悲しみと喜びの姿を写してきました。 

2004年には、フォトジャーナリズム月刊誌DAYS JAPANを発刊。被ばくした子どもたちを支えるチェルノブイリ子ども基金や、福島の子どものための保養施設「沖縄・球美(くみ)の里」を設立するなど、ジャーナリズムの枠に多岐にわたる活動も続けています。 

そのDAYS JAPAN写真学校で写真を学び、世界報道写真賞「人々の部」の1位を受賞するなど、現在、国際的に活躍している1985年生まれの若き写真家・小原一真の[Exposure/ Everlasting -30年後の被曝に向き合うために-]も同期時に開催しています(11月25日まで)。

50年の歳月を重ねてきた写真家と、これからキャリアを積み上げていく写真家の邂逅という点も見どころです。ぜひ、この機会にご覧ください。 

小原一真写真展「Exposure/ Everlasting ー30年後の被曝に向き合うために」

ARTLOGUE 編集部2018/11/08(木) - 18:05 に投稿

戦争や核などの社会問題に対し独自の方法で表現活動を続ける写真家・小原一真が、チェルノブイリの今を見つめ、30年後の未来を考える特別展示を原爆の図丸木美術館で開催中です。チェルノブイリ原子力発電所事故は1986年に起きた世界最大の原子力事故と言われています。小原は2015年から2年間、延べ7ヶ月に渡り、ウクライナに滞在し二つの作品を制作しました。「Exposure」では、立ち入り禁止区域で発見された被曝した中判フィルムを用いて、事故直後に母親の胎内で被曝した女性、マリアの見えざる障害を描いています。4分から8分の長時間露光によって作られた抽象度の高いそれらの白黒写真は、目に見えない彼女の障害を見るための想像力を喚起し、「Everlasting」では、廃炉作業を担う作業員の通勤風景、そこで暮らす若者たちの恋愛、結婚、出産を記録しながら、世代を超えて永遠のように引き継がれていく原子力産業、そして、そこで生きていく人々を描き出しています。

丸木スマ展

ARTLOGUE 編集部2017/10/17(火) - 02:25 に投稿

丸木スマは、1875年に広島県伴村(現・広島市安佐南区)に生まれました。結婚後は飯室村(現・広島市安佐北区)で船宿業と農業に従事しながら、画家となった位里をはじめ4人の子どもを育て、働き詰めの毎日を送りました。その後、「年をとってなにもすることがなくなった」とこぼしていると位里・俊夫妻に絵を描くことを勧められ、1948年頃から絵筆をとるようになります。1951年には俊が出品していた女流画家協会展で初入選を果たしますが、その際、創立会員の三岸節子がスマの作品を高く評価したと言われています。

美術教育を受けることもなく「おばあちゃん画家」と呼ばれたスマの絵は、遠近法や透視図法などとは無縁で、身近な動物や魚、四季の花々等を題材に配色や構図に独自の工夫がなされています。晩年になって花開いた、色鮮やかで自由奔放な世界をお楽しみください。

本展は、今夏に一宮市三岸節子記念美術館で開催された展覧会の巡回ですが、吉川英治旧蔵の《カニの図》など一部展示作品が異なります。広島の丸木家で今春発見された《ピカドン》をはじめ、貴重な作品が数多く展示される機会となりますので、ぜひご覧下さい。

 

丸木スマ展 フォトギャラリー