菊池容斎

動と静

ARTLOGUE 編集部2018/08/02(木) - 17:35 に投稿

昔から洋の東西を問わず、絵画や彫刻といったそれ自体は動かない造形物の中に《動》を表現して力や速さを感じさせたり、 その逆に、動かない造形物だからこそ《静》を強調させたり、美術表現はさまざまな可能性を追究してきました。 筆致が喚起する勢いや動き、画面の構図や余白が醸し出す力や静謐さ等々、今回はそのような《動と静》の表現に注目し、 原六郎コレクションから選んだ日本の古美術作品を展示いたします。 風景・人物・動物などの絵画表現(狩野派、雪村、住吉広行ほか)だけでなく、筆によって書かれた文字(本阿弥光悦ほか)もまた、 この視点から鑑賞すると興味深いことでしょう。

 

絵描きの筆ぐせ、腕くらべ―住友コレクションの近代日本画

ARTLOGUE 編集部2018/05/28(月) - 03:00 に投稿

住友邸宅を飾った日本画家たちの

くせのある名画、勢揃い!

 

日本画には、もともと流派がありました。古くは平安時代に成立した「やまと絵」があり、室町時代には中国画をもとにした「狩野派」が出て一世を風靡します。江戸中期には京にいた円山応挙がリアルな表現を導入した写生表現を打ちたて「円山四条派」の祖となり、さらに中国の明清時代の「文人画」も将来され、画譜などの出版メディアによって文人画風が流行します。近代には、そうした伝統的な諸流派は美術学校という教育システムのなかで継承されながらも解体され、「個性」を重視した個別の描法が絵画表現の中心になります。
本展は、住友家に伝わった近代日本画の名品を、画家の筆ぐせからご鑑賞いただく展覧会です。明治後期から昭和にかけて、大阪や京都、東京にあった住友家の邸宅では、それぞれの地域の画壇に所属する日本画家たちの作品がかけられ、鑑賞されていました。
近代ならではの表現を求めた日本画家たちの腕くらべをご紹介いたします。