高畠華宵大正ロマン館

高畠華宵生誕130年記念特別展 幻想の果てに ー丸尾末広と高畠華宵ー

ARTLOGUE 編集部2018/04/25(水) - 03:37 に投稿
『金の船』表紙絵

 

2018 年は、高畠華宵が愛媛県宇和島に生まれて130 年になります。大正から昭和にかけて挿絵画家として活躍した華宵ですが、全盛期の仕事ぶりと比べると戦後は挿絵の仕事も減り、華宵にとっては思うように絵を描けない厳しい晩年を過ごしました。しかし華宵が残した作品は、同時代の少年少女は言うに及ばず、彼の死後も多彩なジャンルのアーティストに様々な形で影響を与えています。

戦後の少女漫画は華宵ら大正ロマンの画家たちの流れを受け継いでいますが、中でも美少年や少年愛をテーマにした竹宮惠子、萩尾望都、山岸涼子などの作品には、華宵の美少年の美しさと凛々しさが受け継がれています。アングラ演劇を牽引した寺山修司や唐十郎は、ポスターや書籍の装丁に華宵作品を使っています。華宵作品は彼らのイマジネーションを刺激したのでしょう。美輪明宏は自他共に認めるように華宵的な妖美を誇っています。このように華宵の美意識は、直接的にしろ間接的にしろ、現代文化にもその水脈が続いていると言えますが、その代表格が異才の漫画家・丸尾末広です。