北澤美術館所蔵 ルネ・ラリックの香水瓶―アール・デコ、香りと装いの美―
20世紀初め、香水が一般の人々に広がるにつれ、香水メーカーは競って美しいデザインの香水瓶を求めるようになりました。宝飾作家として活躍していたフランスのルネ・ラリック(1860~1945)は、香水商フランソワ・コティから依頼され、ガラスの香水瓶を制作し始めます。ラリックの香水瓶はその優美なデザインにより、瞬く間に人気を集めました。ラリックは以降、ガラス工芸家に転向し、20世紀初頭のモダンな様式、アール・デコを代表するデザイナーとなりました。
同じころ、ファッションにも大きな変化がありました。服飾デザイナーのポール・ポワレ(1879~1944)がコルセットを使用しないドレスを発表したことを機に、従来のボリュームを強調したシルエットから、より活動的で、体に沿ったデザインに変化しました。
本展では、ガラス工芸コレクションで世界屈指の質、量を誇る北澤美術館の所蔵品から、ラリックが手掛けた香水瓶を中心に、アクセサリーやパフューム・ランプ、化粧品容器などを紹介します。あわせて神戸ファッション美術館の協力により、アール・デコの装いを代表するドレスやファッション・プレート(ファッション誌を飾った手彩色の版画)を展示します。