いま、抽象芸術が復活しています。20世紀初頭の前衛芸術としての抽象表現と、戦後美術批評に擁護されたアメリカの抽象表現が美術史上の主要な先例であり代表的動向でもあるこの分野が、近年、ヨーロッパとアメリカにおいて注目を集めています。
1970年頃のいわゆる絵画の死が、続く時代の端緒となり、80年代以降の美術活動は進歩史的な美術観から解放され、美術遣産と柔軟な関係を結びました。そうした流れの中で、抽象芸術も80年代以降、先行する抽象的な作品だけではなく、過去の美術の様々な概念や手法を活用し、融通性があって、混成的で、拡張的なものとなリました。抽象芸術創成期の絶対性は効力を喪失し、モダニズムの教条主義を超克した現況下に、新しい抽象芸術が誕生しています。
本展は、1980年から今日に至る約40年間のヨーロッパとアメリカの抽象芸術に焦点を当てます。80年以前に活動を開始した歴史的な美術家の作品を含めた独創的で魅力的な抽象作品を、絵画を中心に膨刻も交えて紹介する貴重な機会となリます。
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