このたび、中村キース・ヘリング美術館(山梨県北杜市小淵沢町)では「ワードプレイ|ワセニ・ウォルケ・コスロフ ー言の葉の戯れーエチオピアのアーティスト ワセニの世界」展を開催する運びとなりました。本展では、当館の開館10周年を記念しエチオピア出身のアーティスト、ワセニ・ウォルケ・コスロフをご紹介いたします。
言語や音楽を素材とし、文化や宗教を超えて人間の心に深く訴えかける同氏の作品を通してヴィジュアルアートの可能性を探ります。
オープニング・レセプションでは、ワセニ氏による子どもたちとのワークショップ及びアーティスト自らが作品や制作への想いを語るギャラリーツアーを行います。また当日は、第9回中村キース・ヘリング美術館国際児童絵画コンクールの授賞式を併せて開催いたします。
◆展覧会概要◆
Wosene Worke Kosrof (ワセニ・ウォルケ・コスロフ)はアフリカ現代美術を代表する画家の一人だ。70年代以降、日本を含む、世界各地の美術館や画廊で数多くの展覧会を開催している。また、ワセニはエチオピアの孤児院や美術館、HIV/エイズ団体、教育機関など多くの団体に寄付を続けている。
ワセニの絵画の特徴は、その鮮明な色使いとリズミカルな線、そしてエチオピアの主要言語の一つであるアムハラ語の文字を融合させた、抽象的な構成だ。中でもWordPlay と名付けられたシリーズは代表的な作品である。「ワードプレイ」という通り「ワード=言葉」にフォーカスしたものだが、アムハラ語に限らず、あらゆる言語が記号化、あるいは絵画化されており、あたかも音符のように画面に表現される。その背景にはチャーリー・パーカー、マイルス・ディヴィス、エラ・フィッツジェラルドといったジャズ音楽や現代エチオピア音楽などがあるという。一度ワセニの画面に引き込まれると、心の奥に誰もが抱く原風景が無限に広がり、重なる色の音が心に響きわたる。
本展では、未発表の最新作を含め21点を披露する。言語や言葉、音楽、日常を素材とし、文化や宗教を超えて人間の心に深く訴えかけるワセニのアートの世界に触れると同時に、改めてヴィジュアルアートの可能性を探る。