花鳥画

没後200年記念 増山雪斎展

ARTLOGUE 編集部2019/04/11(木) - 02:31 に投稿
伊勢国長島藩第5代藩主・増山正賢(1754-1819)は、書画に長けた文人大名として、「雪斎」の号で知られています。画は、清の沈南蘋に私淑し、山水人物から花卉草虫に至るまで、数多くの作品を遺しました。とりわけ、虫類を真写した博物図譜、南蘋流の花鳥画にみられる表現の精緻は、高く評価されてきました。 雪斎の細やかな写生は、江戸博物学の発展という時代背景とともに、愛護の心に富んだ人格によるものといえます。雪斎の師友に対する情は篤く、江戸詰のお抱え絵師の春木南湖を長崎に遊学させて、来舶清人・費晴湖などに画を学ばせるなど厚遇し、また大坂の木村蒹葭堂が零落した時は、しばらく領内にて庇護し、その苦境を支えました。 藩も身分も越えた親交は、雪斎の文人的教養を高めるにとどまらず、長島藩の文化振興にも影響を与えました。本展覧会では、没後200年という節目の年にあたって、雪斎の業績を顕彰し、雪斎の画業をたどる作品、雪斎とこの地に関わりのある画家の作品を広く紹介します。

所蔵絵画展 花を描く・静物を描く ― 日本画vs.洋画 ―

ARTLOGUE 編集部2019/03/07(木) - 02:34 に投稿
中国の影響を受けた花鳥画は、室町時代には禅僧による水墨で描かれ、のち狩野派の雄渾で華麗な障屏画、装飾的な琳派、さらに写生を重んじた四条派などへと展開し、現代の日本画にも継承されています。四季の変化に富むわが国では、自然と共に暮らす中で身近な植物や鳥、魚や昆虫などに目を向け、それらは絵画の主題のほか染色や陶磁器の文様で表現されています。一方、静物画は花瓶に活けた花や、果物、壺など静止して動くことのないものを描いた絵画で、観察を通じた写実を重視する傾向がみられます。 今回の展示では、洋画の雰囲気が漂う大輪の牡丹を描いた川端龍子の《花王図》や、福田平八郎の《牡丹》、前田青邨の《川魚》といった繊細で装飾的な日本画とともに、あまり出品されることがない梅原龍三郎《薔薇図》、中川一政《椿》、林武《鰊》などの洋画もご覧いただきます。 花鳥画の伝統に基づく優美な日本画と、鮮やかな色彩と力強い筆致の油彩画による、同じ題材である「花」と「静物」を比較しながらお楽しみください。