中国陶磁

唐三彩 ― シルクロードの至宝 ―

ARTLOGUE 編集部2019/04/16(火) - 02:31 に投稿
20世紀初頭の中国で鉄道敷設工事中に偶然発見され、その存在が知られるようになった唐三彩。その名の通り、唐時代(618-907)に緑釉・褐釉・白釉(透明釉)という三色、あるいは、コバルトを用いた藍釉を加えた多彩な鉛釉をかけ分けて華麗な装飾をほどこした多色釉陶器である三彩は、またたく間に世界のコレクターを魅了し、今では中国陶磁を代表する存在となっています。 この時代はシルクロードを通した東西交流が盛んな時代でもありました。砂漠の貿易商人である胡人(ソグド人)や長距離交易の際の乗り物であったラクダといった異国情緒たっぷりな人物や動物、さらには西方伝来の様々なうつわ類を再現した唐三彩は、国際色溢れる当時の状況や雰囲気を私たちに教えてくれます。また、王侯貴族の葬礼を彩り、墳墓を飾り、来世で用いるために制作され、埋納された唐三彩は、当時の陶芸技術の粋をあつめた芸術品でもありました。つまリ、シルクロードの文化交流を体現した唐時代を代表する、まさに至宝と呼ぶにふさわしい作品なのです。 同展では、2009(平成21)年開催の「中国の陶俑(とうよう)」展以来10年ぶりに、出光コレクションの唐三彩を厳選し、一堂に展観されます。さらに、中国の周辺、北部草原地帯に王朝を建設した契丹(きったん)族の遼(りょう)と、西方のペルシア地方に誕生した独特の三彩(遼三彩とペルシア三彩)、および、唐の滅亡後におこった歴代の王朝(金~清時代)において、制作の伝統が守られながらも、新たに発展してきた多種多様な三彩スタイルの陶磁器も紹介されます。

六古窯 ― 〈和〉のやきもの

ARTLOGUE 編集部2019/02/15(金) - 02:39 に投稿
素朴ながらも豪快で力強さを備える中世のやきもの。中世から現代にまでつづく瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前のやきものは六古窯(ろくこよう)と称され、日本的なやきものとして親しまれてきました。 これら中世のやきものは、当時の人々の生活の必需品でしたが、後に茶の湯のうつわとしても注目されます。また唐物など舶来の文物に影響を受けながらも、各地で独自のスタイルを生みだしました。 同展では青銅器、中国陶磁といった唐物などもあわせて展観しながら、中世のやきものの魅力が紹介されます。

中国陶磁百花

ARTLOGUE 編集部2019/01/30(水) - 02:36 に投稿
華やかなやきものを次々と誕生させ、常に世界をリードしてきた中国。 この度は「花」をテーマに三つの視点から中国陶磁の魅力をご紹介いたします。 まず一つ目は、花が描かれたうつわを展示します。世界には様々な文様がありますが、その中でも花は最も多いモチーフの一つです。 中国でも古くから牡丹や蓮などの美しい花が描かれたうつわが人々の生活を彩ってきました。 二つ目は、花をいける道具・花器に注目します。古来より花を愛でる文化があった中国では陶磁製の花器も多く生産されていました。 これらの花器は、平安時代以降、日本にももたらされ、鎌倉時代には室内装飾にも大きな影響を与えています。 中国の陶磁装飾の技法の名称には、「印花」や「貼花」、「青花」など文様を意味する「花」の文字が付いたものが多くあります。 三つ目では、これらの装飾技法が用いられた作品などをご紹介いたします。 本展を通じて、大陸に咲き誇った美しい中国陶磁の世界をお楽しみいただければ幸いです。