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山本 優美「コロモガエ outgrow」

ARTLOGUE 編集部2018/11/07(水) - 14:23 に投稿

山本優美はこの10年間、自身の思い出のこもった衣類や家族や友人が着ていた衣服を、柔らかい陶土に手作業で彫り込むことで写し変え、完全焼成したのちセラミック作品として完成させ発表して来ました。彼女の執拗なまでの観察眼と卓越した手わざは、柔らかくて軽いものをそのまま硬くて重いものに変える「逆転の一瞬」を表現することを可能にすると同時に、彼女自身が私たちが知るカメラとは全く別の、ある「写真装置」として存在していることを知らしめて来たとも言えるでしょう。

2017年の春、山本は初めての子供を出産し、現在は子育てに忙殺されながらも、現代美術家として精力的に制作し続けています。「母」としての生活は、当然のことながら彼女の中に新しいテーマをもたらし、昨年来制作された作品にその兆しが徐々に現れているように思えます。彼女自身が新しい「山本優美」を模索する姿は、過去の殻を一旦脱ぎ、あたかも羽化しようとする蝶にも重なります。今回の個展では、作家として、そして作品としてまさに今変化しつつある「衣」を潔く公開しようとしています。この機に是非ご覧ください。
 

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