渋谷区立松濤美術館

ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース展

ARTLOGUE 編集部2018/05/24(木) - 02:33 に投稿
《ショール》シャンティリ・レース、19世紀、フランス ©Keita(FLAME)

 

かつてレースは、ヨーロッパの王侯貴族たちの間で富と権力の象徴として流行し、歴史上、常に重要な価値を持ってきました。熟練した職人たちが長い時間をかけて手作業で生み出したレースは、単なる豪奢な装飾品の域を超え、時には城や宝石をしのぐほどの価値を持った、きわめて優美で繊細な美の世界だったのです。

本展では、世界的なアンティーク・レースのコレクターで鑑定家でもあるダイアン・クライス氏の数万点にもおよぶ膨大なコレクションから、カトリーヌ・ド・メディシス、マリー゠ アントワネット、ナポレオン・ボナパルトといった、王侯貴族に由来するロイヤル・レースや、ファッションやインテリアに取り入れられたレースなど、16世紀から19世紀のレース全盛期の作品を中心に、約170点をご紹介します。

「アンティーク・レース」は、超絶技巧とも言える、現在ではほとんど失われてしまった技術で制作された芸術品です。わたしたちがいま目にするレースとは一線を画す、中近世ヨーロッパの美と技の粋を集めた品々には驚嘆させられることでしょう。