百(もも)の手すさび 近代の茶杓と数寄者往来
茶杓とは、茶道具の一種で、茶器に入っている抹茶をすくい茶碗に入れるためのものです。一見とてもシンプルな一片の匙にも関わらず、茶杓は人なりと称せられ、古来より大切に扱われてきました。明治維新以後、近代日本の政財界を牽引した名だたる実業家たちは、その美意識と財力によって美術品を蒐集し、茶の湯の場において数寄者として親交を深めました。その交流の一つに自ら作った茶杓を贈りました。本展は、池田瓢阿氏(竹芸家)監修のもと、近代茶杓の礎となった近世(安土桃山時代から江戸時代)の茶杓を通した交友も回顧しつつ、三井財閥を支えた益田鈍翁を中心とする東西の近代数寄者約30名が作った茶杓を展覧します。