Martand Singh(マルタ・シン)

Khadi インドの明日をつむぐ - Homage to Martand Singh -

ARTLOGUE 編集部2018/05/01(火) - 14:23 に投稿

簡素で美しい生活様式やテキスタイルをはじめ、今日でも手仕事による技法や歴史、文化が色濃く継承されているインド。なかでも「カディ(Khadi)」と呼ばれる綿布は、ものづくりのオートメーション化が著しい近年も、手紡ぎ、手織りによってインド各地でつくられています。

つくり手によって紡がれる一本一本の糸、多様な織り目による白の表情。その美しいテクスチャーには、インドの近代史と哲学が織り込まれています。インド国旗に糸車が配された背景には、輸入品を断ち国産の綿布に身を包む不買運動から、独立、そして明日への希望の象徴となったカディがありました。

マルタン・シン(Martand Singh、1947-2017)は、インド・テキスタイルなどの幅広い文化復興活動で知られています。シンは、インドの独立、雇用、死生、創造という観点からカディを「自由の布」と呼び、この綿布で仕立てられる衣服、カディ・クルタ(Kurta)を日常着として纏っていました。クルタは今日でも、セレモニーの正装として、ある時は寝間着として、多岐にわたる場面で着られています。