熊倉順吉

熊倉順吉展

ARTLOGUE 編集部2019/04/10(水) - 02:31 に投稿
京都に生れ、前衛陶芸のパイオニアのとして活躍した陶芸家・熊倉順吉(1920-1985)の創作活動を、近年受贈した作品を含む当館コレクションから紹介します。 熊倉は一時モダンアート協会に属し、また1957年からは走泥社同人となって活動するなど、早くから前衛陶芸の旗手として知られる陶芸家です。京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)図案科で建築を専攻し、室内装飾を学んだ熊倉は、1945年の終戦後、復員して京都に戻り、国立陶磁器試験所の伝習生となりました。翌年、陶芸家・福田力三郎に師事し、福田の兄が経営する松斎陶苑で陶技修得に励むなか富本憲吉と出会い、指導を受けています。 陶芸を志して以来、器物制作にいそしみ、絵付けによって新しい陶芸を作り出そうとした熊倉の関心は、やがて形に向かい、彫刻的な作品を経て、土の塊としての性格が強く表現された作品、肉体の部分をかたどった作品、ジャズをテーマとした作品、金彩を特殊処理した作品と多彩に展開をしていきました。熊倉は京都工芸繊維大学や京都市立芸術大学で非常勤講師を務めていますが、1972年からは多治見市陶磁器意匠研究所の特別講師ともなり、多治見の地にも足を運んでいます。 当館では、平成28年度までに多数の熊倉順吉作品を寄贈により収蔵し、その中心となる稲塚コレクションは約170点におよびます。本展ではそれら選りすぐりの作品の紹介とともに、人体やジャズに着想を得たオブジェから器まで、多彩な作品にあらわれた熊倉の独創的な世界をごらんいただきます。 関連展示として、同じく走泥社で活躍し、前衛陶芸の世界を切り拓いた八木一夫、鈴木治、山田光の作品も展示します。 【会場】 岐阜県現代陶芸美術館 ギャラリーⅡ

ジャズ・スピリットを感じて… 熊倉順吉の陶芸×21世紀の陶芸家たち展

ARTLOGUE 編集部2018/04/25(水) - 06:28 に投稿

戦後の前衛陶芸は、新しい時代の情熱に溢れた作家たちのエネルギーに満ちていました。伝統的な陶芸が主流であった中で、前衛陶芸のパイオニアのひとりとして造形的な作品を生み出していた熊倉は、常に何が伝統であるかを問いかけ、真の伝統の担い手とは、社会に根差し実験的で創造的な精神であると記しています。熊倉は強烈なサウンド、ジャズから時代精神を受け止め、ジャズの響きを土でうけとめようと試みる中で、日常のやきものの釉薬や技法をヒントに、新しく鮮烈な作品に仕上げました。

本展では、戦後の前衛陶芸を率いた熊倉順吉の陶芸と、1970年代のクラフトデザイン運動の盛り上がりの中、産地信楽から刺激を受けた日常の器もあわせて紹介します。また、この企画を通して彼の熱い精神に触れ、信楽で滞在制作した若手作家たちの作品も併せて展示します。信楽でさまざまな刺激を受けジャズを時代を読む手がかりとしていた熊倉と同様に、21世紀の今、訪れた信楽でそれぞれの手法で時代を捉えながら制作を行う陶芸家たちの作品を併せて紹介します。

 

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