大林財団《都市のヴィジョン》の第3回助成対象者は、exonemo(エキソニモ)に決定!

遠藤 友香2021/03/03(水) - 18:20 に投稿
Photo by Niko

公益財団法⼈ ⼤林財団は、助成事業《都市のヴィジョン-Obayashi Foundation Research Program》の第3回助成対象者を、ニューヨークを拠点に活動するアートユニット exonemo(エキソニモ)に決定しました。第1回で採択された会⽥誠⽒、第2回のシアスター・ゲイツ⽒に続き、エキソニモの両⽒は、2021年度を当助成事業の活動期間として、調査・研究に取り組むことになっています。

エキソニモは、怒りと笑いとテキストエディタを駆使し、さまざまなメディアにハッキングの感覚で挑むアートユニット。千房けん輔氏と⾚岩やえ氏によって、1996年よりインターネット上で活動を開始しました。2000年より活動をインスタレーション、ライヴ・パフォーマンス、イべント・プロデュース、コミュニティ・オーガナイズなどへと拡張し、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り⼝と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手掛けています。

今回、エキソニモが採択された《都市のヴィジョン-Obayashi Foundation Research Program》とは、アーティストが「都市」をテーマに研究・考察する活動を⽀援する⽬的で、2年ごとに実施される⼤林財団による制作助成事業です。2017年度にスタートし、今回で3回⽬を迎えました。この助成事業は、豊かで⾃由な発想を持ち、さらに都市のあり⽅に強い興味を持つ国内外のアーティストを対象としており、5⼈の選考委員の推薦に基づいて決定されます。選考委員⻑には、アーツ前橋館⻑で東京藝術⼤学⼤学院 国際芸術創造研究科 准教授も務める住友⽂彦氏、選考副委員⻑には、キュレーターの飯⽥志保⼦氏、選考委員には、東京オペラシティ アートギャラリー シニア・キュレーターの野村しのぶ氏、滋賀県⽴近代美術館 ディレクター(館⻑)の保坂健⼆朗氏、東京都現代美術館 学芸員の藪前知⼦氏が名を連ねています。

住友委員長は、「2020年は芸術の歴史において、どのような転換点になるのでしょうか。最初の緊急事態宣⾔が出されて以降、社会⽣活における『必要なもの』と『不要なもの』が区別されていくなかで、芸術⽀援のあり⽅も問われています。様々な⽂化事業が延期や中⽌を余儀なくされましたが、2020年3⽉のWHOによる『パンデミック宣⾔』直前に第2回助成対象者のシアスター・ゲイツのレクチャーパフォーマンスが無事⾏われ、そのあと迅速に第3回助成対象者の選考の会議が重ねられました。『必要』『不要』のどちらかに性急に区別されるのではなく、⽣きるうえで⼤切なものとして芸術の役割を再確認するためにも、この助成活動を持続させることができたのは本当によかったと考えています。

選考においてはアジアや他の地域のアーティストの候補も検討しましたが、海外との往来がどうなるか不透明であり、助成対象者が調査や制作の過程を関係者や⼀般に広く共有する機会をなるべく確保するためにも、今回は⽇本国籍を持つアーティストを選出することにしました。

この⼤きな転換期に、私たちが⼀緒に踏み出すべき歩みを⽰唆してくれるような活動になることを期待しています」とコメントしています。

公益財団法⼈ 理事⻑の⼤林剛郎氏が「考えてみれば、都市というテーマを研究したり考察したりするアーティストを⽀援している組織というものはこれまでなかったと思います」と述べているように、エキソニモがどのような調査・研究に取り組むのか、期待が高まります。ぜひ、エキソニモの活動に注目してみてください。
 

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