公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団の設立40周年を記念し、大阪のクリエイティブユニット「graf」が企画・デザイン・展示構成等のディレクションを手掛けた展覧会「無形にふれる」が、2020年1月18日(土)~2月16日(日)まで、POLA MUSEUM ANNEXで開催中です。
ポーラ伝統文化振興財団は、日本の優れた無形の伝統文化を次世代につなぐ活動を行ってきました。40年の活動の集大成となる本展では、伝統文化の第一線で輝く人々の作品や舞台を生み出すわざ、美意識や想いといった、文化の本質を感じ取ることができます。「伝統芸能」、「伝統工芸」、「民俗芸能」という3つのカテゴリーにわけ、ポーラ伝統文化振興財団の顕彰事業や保存記録作成事業の対象者のうち、各分野から2件ずつの個人・団体を取り上げています。
伝統文化-この言葉を聞いて、皆さんはどんなイメージを抱くでしょうか? 「格調高さ」や「厳かさ」「由緒正しさ」、あるいは「ちょっと難しい」と感じる人もいるかもしれません。本展ではこうした従来の「伝統文化」のイメージを一度解体したのち、デザイン的なアプローチで再構築しています。思想家ルドルフ・シュタイナーの「12感覚」をヒントに、今を生きる私たちの美意識を、驚きや親しみとともに呼び覚まします。
「見えないものを可視化して、聞こえないものに耳をすませる」をキャッチフレーズに、伝統文化を受け継がれている方への取材で見つけた美しさ・おもしろさなどからそれぞれテーマを設定し、一方的に見るだけでなく身体で実感でき、初めての旅先に訪れたような発見の多い表現方法を探っています。
例えば、能楽界を代表する二十六世観世宗家 観世 清和氏や、京舞井上流 井上安寿子氏を圧巻の特大パネルで紹介するコーナーでは、伝統芸能の「型」を体感することができます。
九谷赤絵作家の見附 正康氏の展示では、極細の面相筆で、白く美しい磁肌に鮮烈な赤色で繊細な模様が描かれた作品を鑑賞でき、感性を美しく昇華されられることを実感できることでしょう。
また、九谷赤絵で使われる面相筆の体験コーナーもあり、その絵付けの難しさを身を持って理解できます。
古くからの型を守りながらも、時として革新的であったからこそ現代に受け継がれてきた伝統文化。異なる伝統文化の作品や資料が集まる、豊かな展覧会をぜひお楽しみください。これらの鑑賞を終えたあとには、これまでとは違う世界が広がっているに違いありません。
■ポーラ伝統文化振興財団 40周年記念展「無形にふれる」
会 期:2020年1月18日(土)~2月16日(日)
会 場:POLA MUSEUM ANNEX
最寄駅:東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線 銀座駅 A9 番出口徒歩6分
休 館:会期中無休
時 間:11:00 ~20:00(入場は19:30 まで)
料 金:無料
※その他詳細についてはこちらをご確認ください。