(タイトルはinbetweening、本来の意味は、動画のコマとコマの間をつなぐ役割を果たすイリュージョンのようなものを示す単語である。)私は、「眼」に限定された視覚だけではなく、実際的な行動とそれに伴う身体性を含む時間的な幅の厚みによって、空間を認識している。自分の足を使って山頂から眺める都市の風景と、高層ビルから見える都市の風景は、私にとって完全に違う存在である。
高層ビルの上に立つ時、果たして展望台から都市を俯瞰しているのか、もしくはハイパーリアルなモニターを眺めているのか、私には区別が出来ない。展望台に上る際、私たちはブラックボックスのようなハイスピードなエレベーターにほぼ受動的な身体として運ばれ、展望台へ到達する。これによって身体経験の断絶が生み出され、展望台から見える風景に対するリアリティーが失われていく。
今の時代ではスマートフォンも含めて、様々な機械を通して効率的に目的へ達することが可能となる。だが一方で、その過程はまるでブラックボックスのようで、そこにおけるワープを経過した事によって身体感覚に断絶を起こしている。映像技術や機械による効率性に身体性が追いつかなくなり、映像におけるフレーム間のような、ブラックボックス的な枠によるリアリティーの断然に気づかなくなるのと同様で、私たちは視覚の認識に依ることで、常に、どこかギャップを内包するリアリティーの中で生きているのではないだろうか。
顧 剣亨(コ ケンリョウ)
1994 年京都生まれ、上海育ち。京都造形芸術大学現代美術・写真コース卒業。大学在学中にフランス・アルルの国立高等写真学校へ留学。現在、東京を拠点に活動。
受賞歴
2018 年 京都造形芸術大学卒業制作展・美術工芸学科学長賞
2018 年 京都国際写真芸術祭 KG+AWARD2018 グランプリ
2018 年 アートアワード東京丸の内小山登美夫審査員賞
2019 年 sanwacompany Art Award / Art in The House 2019 グランプリ
推薦人:椿 昇(京都造形芸術大学美術工芸学科 教授・学科長)
まず彼は中国人であり国際人である。日本と中国で学び、英語にも堪能であるというグローバルなポテンシャルを活かし、学部に入るやいなやパラソフィアで蔡國強のアシスタントとして活動。その後氏の展覧会の度にアシスタントとして活動。瀬戸内芸術祭では小豆島のインド招聘作家の通訳兼制作助手をするなど、早期にトップスターたちの側でアートの作法を垣間見る事になった。その成果は自然な形で作品に受肉してゆくのだが、彼の資質を一言で言うなら「恐ろしいほどの制作量と移動距離」に尽きる。アーティストとして頭角を現すための魔法や近道などどこにもない事は当然の事として、ひたすら移動し観察し続ける行為のつかの間にシャッターがまたたくだけの事が、平然と行われているという事実が彼を支えている。学部卒展で学長賞を得て以来、次々にコンペで賞を取って確実にステップアップしているが、その若さには似つかわしくないほどの「透徹した東洋智」が彼の作品から漂っている事に、大陸の遺伝子の重みを重ね合わせる事に異論は無いだろう。Kyotographie サテライトイベント kg+ グランプリアートアワード東京丸の内小山登美夫審査員賞。ワコールスタディーホールで個展 Tokyographie で個展 KG+で個展。2019 年に開催されるアーティストフェアKYOTO にも推薦を受けた。
今後若手の写真家を代表するスターに育って行く事が期待される。
本展覧会はARTLOGUEがプロデュースした株式会社サンワカンパニーが主催する新進気鋭のアーティスト支援と「アートのある暮らし」を提案するアートコンペティション「sanwacompany Art Award / Art in The House 2019」のグランプリ作品展です。
審査委員:
南條史生(森美術館 館長)
遠山正道(株式会社スマイルズ 代表取締役社長)
塩見有子(NPO 法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/ エイト] 理事長)
山根太郎(株式会社サンワカンパニー 代表取締役社長)
鈴木大輔(株式会社アートローグ 代表取締役CEO)
コンペティションの詳細はこちら。
開催概要
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会 期:2019年2月6日(水)~4月1日(日)
会 場:サンワカンパニー東京ショールーム(東京都港区南青山2-26-1 南青山ブライトスクエア 1F)
時 間:10:00 ~18:00
休 館:会期中無休
入館料:無料