「彫刻は野外の芸術である」と語ったヘンリー・ムーア。彫刻の概念や表現の幅を広げたメダルド・ロッソ。
20 世紀彫刻の要となる二人の作家を中心に、所蔵作品 23 点を紹介します。
■ヘンリー・ムーア コレクション
…ひとたび野外に出て陽を浴び、雨に打たれ、雲の移りゆきを感ずるときには、彫刻も生活の一部であるということがよくわかる…
これは、当館の国際公募展「ヘンリー・ムーア大賞展」創設時(1979年)にムーアから寄せられたメッセージです。このムーアの言葉は、そのまま当館の指針にもなってきました。
イギリスの彫刻家ヘンリー・ムーア(1898〜1986)は、「彫刻は野外の芸術である」と語っています。自然の力で作られた形―小石や貝殻、流木、動物の骨、火打石(フリント・ストーン)を、ムーアは「見つけたオブジェ」とよび、尽きることない創作の源泉としました。ムーアの作品は、「母と子」「横たわる像」「内なるかたちと外なるかたち」の3つのテーマに分類することができます。その制作方法は、小石や骨などの自然のかたちからアイディアを得て最初に手のひらに乗る小さなマケット(雛型)を作り、風景の中に彫刻を置くことを想定しながら中間サイズの原型へと拡大しました。さらにいくつかの作品が選ばれて、2〜5mの野外作品になっています。
■メダルド・ロッソ コレクション
19世紀から20世紀への変わり目に、彫刻の新たな可能性を切り開いたイタリアの彫刻家メダルド・ロッソ(1858〜1928)。その作品の多くは小型で、手法や素材から未完成にみえるほどです。市井に生きる人々の哀歓を素描のように写しとったロッソの作品は、観るものの視覚や記憶に迫り、強い印象を残します。
ロッソの関心は、対象を三次元として捉えるのではなく、光が彫刻に及ぼす効果をそのまま表現することで、現実的な主題から得た瞬間の印象を刻印することにありました。ロッソは、彫刻を見るべき視点を特定し、絵画の明暗法やぼかしの技法を応用するなど、彫刻の概念や表現の枠を広げました。
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開催概要
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会 場:彫刻の森美術館
会 期:2018年3月7日(水)〜2019年1月14日(月・祝)
時 間:9:00〜17:00
*入館は閉館の30分前まで
休 館:年中無休
料 金:一般1600円(1400円)、大学生・高校生1200円(700円)、中学生・小学生800円(500円)
*()内20名以上団体割引
*障害者手帳をお持ちの方は、 一般1000円、大学生・高校生700円、中学生・小学生500円
*「毎週土曜日はファミリー優待日」保護者1名につき小・中学生5名まで無料ご招待