アジアからあふれ出る様々な表現は、土地の歴史や文化と密接に結び付きながら、伝統と急速なグローバル化の間での模索や試行が続いています。ポスト工業化や技術革新の波にもまれながら、「人間はどこに向かって行くのか」という普遍的な問いを投げ掛ける作品を中心にご紹介します。
会期前半はス・ドホ《家の中の家ー1/11スケールー原型》を展示します。これは彼がアメリカに留学して初めて暮らした縮尺1/11の洋風建築の中に、よく見ると、幼少期に韓国で過ごした間取りが埋め込まれています。
ザイ・クーニンは、マレー族がイスラム化する前の文化の様相を明らかにしようと、初代のマレー王ダプンタ・ヒャン・ジャヤネサに関する研究と創作実践から成るプロジェクトの集大成を発表します。
宇治野宗輝《プライウッド新地》のサウンド・スカルプチャーは、レトロな雰囲気を色濃く残した日常品の「都市」が出現します。ここ近年、2020年のオリンピック・イヤーに向けて、昭和の高度経済が成長した時代のような熱気を帯びて日本全体が熱病に冒されているようです。宇治野の作った動く都市は、ユーモラスな動きとともに物質文明に激しく問い掛けているように感じられます。
照屋勇賢の《遥か遠くからの未来より》では、沖縄出身で現在ニューヨークを拠点にしている照屋が伝統的な琉球着に、ジュゴンや軍事用ドローン、沖縄の110人以上の人々のモチーフを染めあげた作品を提示します。
ジュン・グエン=ハツシバは、政治や社会の大きなうねりの中で犠牲となった、名もない人々の姿を美しい映像で表現しています。2001年から発表している難民や少数派の映像作品から10年後、2011年に東北の被災された方々に捧げる近作も紹介します。
「アジアの風景」と題して、アジア地域から世界を見続け、変成する現代社会を照射する作品をセレクトし展観します。
※展示室6のみ、会期11/10(土)~2019/5/6(月)※展示室13のみ、会期11/3(土)~2019/3/3(日)ほか、一部展示替え有
【会場】
展示室1~6、13
【出品作家】
コレクション展 アジアの風景:ス・ドホ、チェン・ウェイ、小西紀行、照屋勇賢、宇治野宗輝、笹本晃、ザイ・クーニン、ジュン・グエン=ハツシバ
開催期間
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上位美術館・ギャラリー
展覧会ジャンル
展覧会
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