吉左衞門X WOLS ヴォルス作品+樂吉左衞門・碗

ARTLOGUE 編集部2018/10/25(木) - 02:30 に投稿

第9回目となる吉左衛門Xは、音楽と詩に親しみ、独自の世界観を描くも、若くして不運な死を遂げた芸術家ヴォルスとのコラボレーション展です。

細いひっかき傷のような線の集合と、とこか内臓的な不定形の抽象を描いたヴォルス(本名:アルフレート=ヴォルフガング・シュルツ、1913-51)の作品は、孤独で傷ついた魂の叫びのようです。また、ヴォルスは、古代中国の思想「老子」にも深い関心を寄せています。

戦後の混乱期、サルトルなとの実存主義の作家とも交流を深め、深く自己自身を見つめた孤独な魂に、同じ時代の人間として、吉左衛門は深く共感し、自身の心と重なるところがあると感じているようです。

第二次大戦後の主要な美術運動の1つである「アンフォルメル」を代表するものとして、また抽象表現主義の先駆者とする見方もあるヴォルスは、特定の画派や芸術運動のグループに属したことのない、孤立した存在でした。細い線で細かく描き込まれたヴォルスの絵は、都市風景、港.船なとの光景の痕跡を残したものと、完全な抽象に近づいたものがありますが、その両方とも、作者の心象風景を可視化したかのような何とも名づけがたいイメージに満ちています。

ヴォルスの絵は、まさに現代という時代を生きる我々の個的な存在そのものの叫びのようです。

本展は、吉左衛門が制作した楽茶碗とヴォルス作品を展観することにより、二者に通じる深い精神性にふれようとする試みです。

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